G7首脳、そろって広島平和記念資料館へ…「核なき世界」結束へ調整加速
- 政治・経済
- 2023年1月20日
5月19~21日に広島市で開かれる先進7か国首脳会議(G7サミット)に合わせ、首脳らが広島平和記念資料館を視察する方向で調整していることがわかった。G7首脳がそろって訪問するのは初めてとなる。ロシアがウクライナを核で威嚇する中、議長国の岸田首相は「核兵器のない世界」に向けた取り組みの重要性を訴え、G7の結束を世界に発信したい考えだ。
複数の日本政府関係者が明らかにした。G7首脳による資料館の視察に関して、すでに米国からは内諾を得た。英国、フランス、ドイツ、イタリア、カナダについても、大使館ルートなどを通じて、調整を加速させている。
G7各国は、ウクライナ侵略に絡んで核による威嚇を続けるロシアに危機感を強めている。このため、日本側の提案について、「各国は前向きに受け止めている」(日本政府関係者)という。
資料館の視察は、オバマ元米大統領が2016年に広島市を訪れた際に実現している。当時、安倍内閣で外相だった岸田首相がオバマ氏の案内役を務めた。広島市内に衆院小選挙区を持ち、被爆地・広島でのサミット開催にこだわった首相は、資料館の視察も重視してきた。核保有国の米英仏を含むG7首脳が一緒に訪問すれば、国内外に平和を誓い、核軍縮の機運を高める取り組みとなりそうだ。
首相は13日に米ワシントンで行われたバイデン米大統領との首脳会談で、「G7首脳と共に、核兵器の惨禍を二度と起こさないとの誓いを広島から世界に向けて発信したい」と強調していた。
訪米に先立つG7メンバー国の歴訪(ドイツを除く)の際には、「核兵器のない世界」の実現をライフワークとする自身の思いを各国首脳に説明した。マクロン仏大統領に対しては、「核兵器による威嚇、使用を断固として拒否するG7の強い決意を示す」と伝えた。
日本政府は、オンラインでの参加を念頭に、ウクライナのゼレンスキー大統領をサミットに招待する方向でも調整を進めている。ゼレンスキー氏の参加には、「核兵器のない世界」の実現に向けた発信をさらに強化する狙いがある。
◆広島平和記念資料館=1945年8月6日に原爆を投下された広島の被爆の実相を世界に伝え、核兵器廃絶と平和の実現に寄与するため、55年に開館。94年には本館に加え、東館が開館した。倒壊した建物や被爆者の遺品などのほか、被爆前後の広島の様子を伝える資料が展示されている。
読売新聞より転用
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