中国、61年ぶり人口減に危機感 「一人っ子政策」撤廃も効果薄
- 国際
- 2023年1月18日
【北京時事】中国の総人口が61年ぶりに減少に転じた。
政府は「一人っ子政策」を撤廃するなど少子化対策に躍起だが、目立った成果は見られない。出生数は6年連続で減少しており、人口減は長引く可能性が高い。国力の低下にもつながりかねず、当局は危機感を強めている。
国家統計局によると、2022年末の総人口は前年末比85万人減の14億1175万人だった。国連の推計では、35年に14億人を割り込み、50年には13億人程度まで減少する見通し。一方、インドは今後も人口増が続き、35年に15億7000万人、50年にはさらに1億人以上増えると見込まれている。中国が世界首位を譲れば、1949年の建国後初になるとみられる。
中国は79年、出産奨励策で増え過ぎた人口を抑制するために一人っ子政策を導入した。国連の推計では、1人の女性が生涯に産む子どもの数(合計特殊出生率)は91年以降、人口の維持に必要な水準を下回っている。国家統計局によれば、総人口のうち、14歳以下の占める割合は21年時点で約17.5%まで低下。跡取りとなる男子を望む風潮から男女構成もいびつなままだ。
当局は16年に一人っ子政策を完全撤廃。近年は子育て支援を強化するなど、結婚や出産を奨励する方針にかじを切っている。
一方、中国メディアによると、中国で子ども1人を18歳まで育てる費用は「教育熱」を背景に米国や日本を大きく上回っている。北京市民からは「子どもは1人で十分」(30代の女性会社員)との声が上がる。 政府は21年に教育費の抑制を狙い、営利目的の塾を原則禁止すると発表。各地方もそれぞれ育休制度の整備や子育て支援金の支給に乗り出した。ただ、北京に住んだ経験のある日本の保育関係者は、当局の対応には「長期的な視野が欠けている」と指摘している。
時事通信より転用
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