欧州最大のレアアース鉱床をスウェーデンで発見「脱中国、始まる」
- 国際
- 2023年1月17日
スウェーデンの国営鉱業会社LKABは12日、北部キルナで欧州最大のレアアース(希土類)鉱床を発見したと発表した。欧州諸国は現在、携帯電話などの電子機器の生産に欠かせないレアアースをほぼ中国からの輸入に頼っており、「中国依存からの脱却が始まる」(スウェーデンのブッシュ・エネルギー相)との期待も高まっている。
欧州最大のレアアース鉱床発見を発表するスウェーデンの鉱業会社LKABのモストロム最高経営責任者(左)とブッシュ・エネルギー相=スウェーデン・キルナで2023年1月12日、ロイター© 毎日新聞 提供
発表によると、レアアース酸化物の埋蔵量は100万トン以上で、確認されているレアアース鉱床としては欧州最大規模という。AFP通信によると、世界の推定埋蔵量1億2000万トンの1%にも満たないが、中国やロシアへのエネルギー依存度を減らしたい欧州にとって発見の意義は大きいとみられる。英BBC放送によると、2021年に欧州連合(EU)域内で使用されたレアアースの98%は中国からの輸入品だった。EUはこれまで加盟国に対し、独自の採掘能力を高めるよう促していた。
ただ、同社は「実際に採掘・出荷を始めるまでに10~15年かかる」可能性があるとも指摘。新規採掘が周辺の水資源や生態系に及ぼすリスクも懸念されており、採掘を認可するプロセスの長期化も予想される。
レアアースは生産や流通が少ないレアメタル(希少金属)の一種。携帯電話や電気自動車(EV)など多くのハイテク製品の製造に不可欠で、脱炭素社会を実現する上でも重要な資源だ。日本も約6割を中国からの輸入に頼っている。
毎日新聞社より転用
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