「事実上の利上げ」指摘の声なし 日銀金融決定会合の主な意見
- 政治・経済
- 2022年12月29日
日銀は28日、大規模な金融緩和策を修正した12月19、20日に開いた金融政策決定会合における政策委員らの「主な意見」を公表した。委員からは政策修正について異論は出なかった。市場では「事実上の利上げだ」との受け止めが広がったが、こうしたマイナス面を指摘する声もなかった。
金融政策決定会合後に記者会見する日銀の黒田東彦総裁=東京都中央区の日銀本店で2022年12月20日午後3時59分(代表撮影)© 毎日新聞 提供
日銀は12月会合で、金融緩和策で低く抑えている長期金利の上限を従来の「0・25%程度」から「0・5%程度」に拡大することを全員一致で決めた。市場は動揺し、長期金利上昇など影響が広がっている。
「緩和を持続可能にするための対応」
会合では上限の修正について「現行の金融緩和をより持続可能にするための対応であり、金融緩和の方向性を変更するものではない」など支持する発言が相次いだ。長期金利の上限を低く抑えていることで債券市場の機能低下が深刻化していると指摘する声も多く、上限引き上げを「市場機能の改善に資する」と評価する意見が目立った。
財務省と内閣府の出席者も「より持続的な金融緩和を実施するためのものと受け止めている」と修正に理解を示した。
市場では今回の修正が大規模な金融緩和策を見直す「出口」に向けた動きにつながるのではないかとの見方もあるが、委員の一人は「これは金融緩和の出口に向けた変更ではなく、現状の緩和姿勢は維持されるべきだ」とクギを刺した。
政府内では2%の物価目標を明記した政府、日銀の「共同声明」を見直すべきだとの声も一部に出ている。会合では「目標値の修正は金融政策の対応を不十分なものにするおそれがあり、適当ではない」と警戒する声も出た。
日銀の金融政策は総裁と副総裁2人、審議委員6人からなる「政策委員」の多数決で決まる。議決権はないが、政府側も出席し意見を述べる機会がある。
毎日新聞より転用
コメントする