米当局、FTX創業者を起訴や提訴 「米史上最大規模の金融詐欺」
- 国際
- 2022年12月15日
米連邦地検は13日、11月に経営破綻した暗号資産(仮想通貨)の大手交換業者FTXの共同創業者、サム・バンクマン=フリード容疑者を、詐欺罪など合わせて8つの罪で起訴した。関係当局も提訴を発表した。「アメリカ史上最大規模の金融詐欺」だと非難している。
米当局、FTX創業者を起訴や提訴 「米史上最大規模の金融詐欺」© BBCニュース 提供
バンクマン=フリード被告は、破産申請に伴いFTXの最高経営責任者(CEO)を辞任。12日に滞在していたカリブ海の島国バハマで逮捕された。
13日にはバハマの裁判所に出廷し、現在はアメリカへの身柄引き渡しを前に拘束されている。同被告は、本国送還について法的に争うと述べた。
当局はまた、バンクマン=フリード被告が選挙資金に関する法律にも違反したとみている。
「詐欺を基礎にした砂上の楼閣」
米証券取引委員会(SEC)は、バンクマン=フリード被告について、1933年証券法と1934年証券取引所法の詐欺防止条項違反をめぐって提訴するとした。
SECによると、バハマに本拠を置くFTXは2019年以来、株式投資家らから合わせて18億ドル以上を調達していた。これには、アメリカを拠点とする約90人の投資家も含まれる。
バンクマン=フリード被告はFTXを、「安全で責任感のある暗号資産取引プラットフォーム」だと紹介。しかし実際には、個人的に所有していた暗号資産ヘッジファンド「アラメダ・リサーチ」に顧客の資産を横流しし、そのことを投資家にも隠しており、「何年にもわたる詐欺を指揮していた」と、SECはみている。
また、アラメダ・リサーチが過大評価されたFTX発行トークンを大量に保有していることを、同被告が隠していたと疑っている。
バンクマン=フリード被告はさらに、FTXの顧客の資金をアラメダ・リサーチと「共同管理」し、「非公開のベンチャー投資、ぜいたくな不動産購入、多額の政治献金」を行ったとされる。
SECのギャリー・ゲンスラー委員長は、同被告が「詐欺を基礎にして砂上の楼閣を作った」と述べた。
また、今回の詐欺疑惑での起訴は、アメリカ法に準拠する他の仮装通貨プラットフォームへの警告にもなると語った。
米ニューヨーク州南部地区の連邦地検と米商品先物取引委員会(FCTC)も、同じタイミングでバンクマン=フリード被告の訴追について発表した。
同地検のデイミアン・ウィリアムズ検事は、同被告が関わった詐欺はアメリカ史上最大規模だと指摘。債権者や投資家、顧客をだましただけでなく、不正に得た「数千万ドル」を民主・共和両党への選挙資金として違法に寄付しと非難した。
「この汚い金がすべて、超党派の影響力を買い、米政府の公共政策の方向性に影響を与えたいというバンクマン=フリードの欲望のために使われた」と、ウィリアムズ氏は述べた。
「経験がなく洗練されていない個人」
業界2位のFTXは1日当たり100億ドル規模の仮想通貨を取引していたが、11月に経営破綻。多くのユーザーが資産を引き出せなくなった。
11月の裁判資料によると、上位債権者50人に対する債務は約31億ドル(約4400億円)に上る。
バンクマン=フリード被告はかつて、アメリカの伝説的な投資家ウォーレン・バフェット氏と比べられることもあった。今年10月の資産総額は150億ドルを超えていた。
米政界では大口献金者としても有名で、パンデミック防止対策や暗号資産規制の改善を支援しているとされた。
バンクマン=フリード被告は11月、BBCニュースの取材で、違法行為に対する非難から距離を置こうとしていた。
ジョー・タイディー記者に対して同被告は、「私は故意に不正を行ったわけではない。詐欺を働いたとは思っていない。このような事態を望んでいたわけでもない。私が、自分が思っているほど有能ではなかったことは確かだ」と語っていた。
また、「アラメダ・リサーチ」が顧客の資金を使い込んでいたことを知っていた疑惑も否定していた。
こうした中、FTXの新CEOに就任したジョン・レイ氏は13日に米連邦議会の委員会に出席し、FTXの破綻は「非常に経験がなく、洗練されていない個人」の少人数グループによる経営が原因だろうと語った。
また、「記録管理が全くなされていない、つまり内部統制が全くなされていなかった」と述べた。
BBCニュースより転用
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