離婚後の「共同親権」導入、「単独親権」維持と両案併記 法制審
- 政治・経済
- 2022年11月16日
離婚後の子どもの親権について法制審議会(法相の諮問会議)の部会は15日、父母双方が持つ「共同親権」の導入と、どちらか一方に限る現行の「単独親権」の維持を併記した中間試案をまとめた。賛否が激しく対立して1案には絞れず、法務省は年内にもパブリックコメントを実施して国民の意見を募る。
親権には、日常的な身の回りの世話(監護)などをする「身上(しんじょう)監護権」と、子の財産を管理し、契約行為を代理する「財産管理権」があるとされる。現行の民法では、婚姻中は父母双方が親権を持つが、離婚後は一方に決める必要がある。
中間試案では、法改正して共同親権を導入する案と、現行の単独親権を維持する案を併記した。
そのうえで共同親権を導入する場合は、(1)共同親権を原則とし、一定の要件を満たす場合に限って例外的に単独親権を認める(2)単独親権を原則とし、例外的に共同親権を認める(3)原則・例外を設けず、個別事案に即してどちらかにする――の3案を示した。
共同親権にした場合、親権のうちの身上監護権を担う「監護者」を定めるかも焦点になる。中間試案では、必ず父母の一方に定める案と、監護者は定めずに双方が監護することも可能にする案を併記した。 中間試案は、離婚後の養育費の支払いや、別居する親子の面会交流をめぐる新たな制度案も示した。 養育費や面会交流の取り決めをしなければ原則離婚できない▽養育費の請求権が自動的に発生する▽親子交流の実施を判断する要素(子の生活状況、安全面など)の明確化――といった複数の案が盛り込まれた。
見直しの背景には、夫婦3組のうち1組が離婚するといわれ、親が離婚した未成年の子が毎年約20万人に上るなか、離婚後も父母双方が子の養育に責任を持つべきだとの考えがある。
一方、共同親権に対しては「関係が継続することで家庭内暴力や虐待が続く」などとして反対する声も強く、法制審部会は1案に絞れなかった。15日の部会でも、一部の委員が「議論が拙速」として中間試案の取りまとめに「強い懸念」を表明する意見書を出した。
政治の関心も高く、8月の自民党法務部会では共同親権を求める立場から「中間試案の内容が分かりにくい」との指摘が出て、同月末に予定していた取りまとめが先送りされていた。その後、骨格は維持したまま若干の修正がなされた。(田内康介)
朝日新聞社より転用
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