ジョコビッチ、試合中にチームが用意したドリンクで炎上。妻が火消しへ
- スポーツ
- 2022年11月12日
© WOWOWテニスワールド 2021年の「東京オリンピック」会場でのジョコビッチ
11月上旬に行われた「ATP1000 パリ」の準決勝中に元世界王者ノバク・ジョコビッチ(セルビア)のチームがその場で作ったドリンクをめぐって、ソーシャルメディアが炎上している。英BBCなど複数のメディアが報じた。
「ATP1000 パリ」に第6シードとして出場したジョコビッチは、決勝でフルセットの末に19歳のオルガ・ルーネ(デンマーク)に敗れ、自身が持つ最多優勝記録(6回)を更新することはできなかった。ところが、大会が閉幕しても話題となっているのはその結果ではなく、第5シードのステファノス・チチパス(ギリシャ)を6-2、3-6、7-6(4)で下した準決勝中にジョコビッチがチームから受け取ったドリンクだ。
観客の一人がTwitterに投稿した動画には、第3セットのタイブレーク中にジョコビッチのチーム席に座る理学療法士のウリセス・バディオがボトルに飲み物を用意する姿が捉えられている。最初は特に変わった点はないのだが、しばらくするとチームの一人が撮られていることに気づき、バディオの斜め前と隣に座る男性たちが明らかに不自然な体勢でバディオの手元を隠そうとしているのがわかる。そうやって完成したドリンクはボールキッズを介してベンチで休むジョコビッチへと届けられた。
「テニスに詳しい方、何がどうなっているのか、なぜこのような方法がとられているのか説明していただけませんか?かなり怪しいと思うのですが」とコメントが添えられたこの動画は投稿から3日間で1500万回以上再生されたと報じられており、各種メディアが大きく取り上げる事態となっている。
隠さなければならなかった理由を詮索するコメントが飛び交う中、ジョコビッチがドーピング検査で陽性反応を示したという情報はないため、ドリンクに混ぜられたものは少なくともドーピング違反となるような成分ではなさそうだ。また、選手が試合中に体力の消耗具合や発汗の量に合わせていくつもの特製ドリンクを飲み分けるのも珍しいことではない。
何人もの一流アスリートと仕事をしてきた生理学者のマーク・コバックス博士は、コーチ陣の動きを「ごく普通のこと」として、ジョコビッチ独自のブレンドであるため中身を知られたくなかったのだろうと論じている。「奇妙な光景ではあったが、スポンサーではないメーカーの製品を隠そうとしたのかもしれないし、単にドリンクの中身を知られたくなかったのかもしれない。いずれにしても、ジョコビッチはそれを秘密兵器だと考えているのだろう」
今回の動画が炎上したのには理由がある。それは、今年の「ウィンブルドン」でジョコビッチが試合中にボトルから飲み物でなく粉末らしきものを摂取している姿が目撃されているからだ。記者会見でそのことについて聞かれた際にジョコビッチが「魔法の薬」とだけ答え、質問をはぐらかしたことでさらなる憶測と批判を呼んだ。ジョコビッチはグルテンフリーの食生活に徹しており、グランドスラム出場を犠牲にしてまで新型コロナワクチンを頑なに受けないなど、体内に取り入れるものには相当なこだわりを見せている。それだけに、ジョコビッチが試合中に摂取しているものにも注目が集まるのだろう。
今回の騒動に対してジョコビッチ自身はコメントしていないものの、妻のエレナさんが動画の投稿者や批判的なコメントに反論しようと躍起になっている。「何も怪しいことはないわ」とTwitterに綴ったエレナさんは、自分とは関係のないことに首を突っ込みたがる人たちのせいで、プライバシーを守ろうとする側が疑われることになると主張。また、邪推されたくないのならジョコビッチ自身が説明すればいいのでは、というコメントに対しては「彼は話す準備ができた時に話すわ。知りたい人に合わせなきゃいけないなんてバカげている。少しは黙っていなさいよ」と返している。
(WOWOWテニスワールド編集部)
※写真は2021年の「東京オリンピック」会場でのジョコビッチ
(Photo by Clayton/Corbis via Getty Images)
WOWOWテニスワールドより転用
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