プーチン氏、動員完了確認せず=ロシア、徴兵巡り国民に動揺―ウクライナ侵攻
- 国際
- 2022年11月4日
ウクライナ侵攻を続けるロシアで、徴兵を巡り国民に動揺が広がっている。プーチン政権は10月末、予定の予備役30万人が集まったと主張。しかし、部分動員令に「100万人」と記されたとの説が消えない中、招集完了を確認する大統領令を出しておらず、今後も続く可能性があるためだ。
「法務専門家と相談してみる」。法学部卒のプーチン大統領は31日の記者会見で、動員に終止符を打つ命令を出すつもりがないか問われ、即答を拒否。翌日、ペスコフ大統領報道官を通じ「大統領令は不要」という見解を示した。
ショイグ国防相は28日、予備役招集が終わったと報告した。だが、プーチン氏が14日の記者会見で「今後2週間」で完了すると表明したため、これに合わせて宣言したにすぎず、実態を反映していないもようだ。その後も警察官が街頭で若者に招集令状を交付する動画が、ソーシャルメディアに投稿され続けた。誤って招集された後、動員を解除された人々の穴埋めについても、説明はないままだ。
そうした中、独立系メディア「ノーバヤ・ガゼータ・ヨーロッパ」は11月1日、動員令が出た9月21日以降に予備役100人以上が戦闘などで死亡したと報道。訓練が不足し旧式の装備しか持たされていないといった実態も、次々と明らかになり、国民の不安は強まるばかりだ。
一方、11月1日には年2回のうち秋の徴兵期間が始まった。予備役の動員と重ならないよう、例年より1カ月遅いスタート。新兵12万人は「特別軍事作戦の地域には送らない」(ショイグ氏)と繰り返し強調されているが、これには国外脱出や反戦デモなどで混乱した動員令の二の舞いを回避する狙いがありそうだ。
米シンクタンクの戦争研究所は10月31日、「来年3月か4月に訓練を終えてウクライナに派遣される公算が大きく、戦況の変化に応じて早まる可能性もある」と指摘した。一方的に「併合」した東・南部4州は「ロシア領」という建前で、新兵を侵攻初期のように送り込むシナリオも否定できない。
時事通信より転用
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