バイデン米大統領、「大麻の単純所持」に恩赦 連邦法で有罪の6500人が対象
- 国際
- 2022年10月8日
© BBCニュース 提供
アメリカのジョー・バイデン大統領は6日、「大麻の単純所持」で連邦法に違反し、有罪判決を受けた人全員に恩赦を与えると発表した。ただ、大統領選で公約として掲げていた大麻使用の完全な非犯罪化には及ばない措置となる。
バイデン氏は6日に発表した声明で、「大麻の所持を理由に人々を刑務所に送ることで、あまりにも多くの人生を一変させてきた。多くの州でもはや禁止されていない行為のために人々を投獄してきた」と述べた。
さらに、「大麻所持の犯罪歴は雇用や住宅、教育の機会にも無用な障害をもたらしている」と続け、統計的に、人種的マイノリティが大麻で投獄される確率がはるかに高いと付け加えた。
米当局は、バイデン氏による恩赦の対象となる「大麻の単純所持で連邦法で有罪となった人」は推定6500人いるとしている。
ホワイトハウス関係者は6日、「現在、大麻の単純所持だけで連邦刑務所に収監されている者はいない」と記者団に述べた。
大麻に絡んで有罪判決を受けるのは、州法に違反した人がほとんどだ。そのため、今回の連邦レベルの救済措置で恩恵を受ける人は比較的少ない。
こうしたことを背景に、バイデン氏はすべての州知事に対し、州法違反のケースについても恩赦を与えるよう求めた。
また、司法省と保健福祉省に対し、大麻が連邦法の下でどのように分類されているかを見直すよう指示している。
バイデン氏は、「我々は大麻をヘロインと同程度に、そしてフェンタニルより深刻なものとして分類している」、「合理的ではない」と述べた。
バイデン氏は民主党の大統領候補だった2020年当時、自身が起草した1994年の犯罪法により薬物犯罪の罰則が強化され、人種的マイノリティの投獄増加につながったと批判を受けた。
連邦法と州法にずれ
最近の世論調査では、アメリカ人の大多数が大麻は合法であるべきだと考えていることが示されている。
嗜好(しこう)用大麻はすでに、19の州とワシントンDCで合法化されている。医療用は37の州と3つの米領で合法だ。
ただ、何百万人もの成人が合法的に購入・使用できる州でも、大麻は連邦レベルで依然として違法となっている。
アメリカでは、連邦議会の中間選挙が来月に控えている。バイデン氏にとっては、残り2年となった政権運営をどれだけスムーズにできるかがかかっている。
非暴力的な大麻犯罪者の釈放を求めているウェブサイト「ライフ・フォー・ポット」は、今回の措置で恩恵を受ける連邦刑務所の受刑者はいないとし、「うわべだけよく見せかけたものだ」とした。
バイデン氏の発表を受け、この日の株式市場では大麻関連企業の株価が約20%上昇した。
BBC Newsより転用
コメントする