インドネシア暴動 サッカー場の定員上回る観客収容か
- 国際
- 2022年10月4日
© 毎日新聞 提供 サッカー場にいた家族が死亡したと聞き、泣き崩れる遺族=インドネシアの東ジャワ州マランで2022年10月2日、AP
インドネシア東ジャワ州マランのサッカー場で1日に120人以上の観客らが死亡した暴動で、場内には当日、定員を上回る観客を収容していた可能性が指摘されている。一方、毎日新聞の電話取材に応じた観客は、警察が暴動を制圧するために「催涙弾をスタンドにも発射した」と証言した。地元の複数のメディアも同様の証言を報じており「過剰収容での催涙弾発射で被害が拡大したのではないか」と指摘している。
暴動が起きたアレマFCとペルセバヤ・スラバヤの試合は、アレマの本拠地、カンジュルハン・スタジアムであった。マラン警察によると、3万8000人の収容定員に対し4万2000枚のチケットが販売されていた。ともに同州に拠点を置くライバル同士で、対戦チケットは人気が高い。さらに今回は、新型コロナウイルス対策の行動制限が緩和された後に初めてアレマの本拠地で行われた試合だった。
当時観戦していたアルフィアン・レザさん(17)によると、アレマが敗れた後、激怒した一部のサポーターがピッチに乱入。警察は催涙弾を使った。レザさんは「警察は私の座席に近いスタンドに向けても催涙弾を発射した。突然周辺が暗くなり一瞬、何も見えなくなった。その後、出口に多くの人が詰めかけ、パニックになった」と話した。
逃げる途中、息切れや、目の痛みを訴え、失神している女性もいたという。レザさんは混乱の中で非常口に向かった。「非常扉は小さく少ししか開かなかったが、なんとか脱出した」と振り返る。「暴動を起こしたのはスタンドにいた人ではなくピッチに入った人だ。スタンドには子連れの家族も多くいた。二度とこのようなことが起きてほしくない」と話した。
両チームの試合では2020年2月にも暴動が起きたため、互いの本拠地の試合には対戦相手のサポーターを入れない決まりができた。そのため今回の問題で被害に遭った人の大半はアレマのサポーターとみられる。【バンコク石山絵歩】
毎日新聞より転用
コメントする