新疆ウイグルで「深刻な人権侵害」 国連弁務官が退任直前に報告書
- 国際
- 2022年9月1日
© 毎日新聞 提供 退任の記者会見に臨む国連のバチェレ人権高等弁務官=ジュネーブで2022年8月25日、ロイター
国連人権高等弁務官事務所(スイス・ジュネーブ)は8月31日、少数民族のウイグル族らに対する抑圧が指摘される中国新疆ウイグル自治区で「深刻な人権侵害が行われている」と指摘する報告書を公表した。反発する中国は、バチェレ人権高等弁務官らに公表しないよう働きかけ、外交的な圧力を強めていた。31日はバチェレ氏が任期満了に伴い退任する日で、報告書の公表はジュネーブ時間で日付が変わる直前だった。
バチェレ氏の報道官は報告書を昨年末にも公表するとしていたが、年明けになっても公表されず、米国などから批判を受けていた。バチェレ氏は今年5月下旬、国連の人権部門トップとしては17年ぶりに中国を訪問した。新疆ウイグル自治区も訪れ、報告書について「退任までに公表する」と説明。訪問で得た情報も盛り込んだ報告書案に対する中国側からの指摘を踏まえ、事実関係を最終確認中としていた。
ロイター通信によると、中国は6月下旬から複数の国に書簡を送り、報告書の公表に反対する立場を支持するよう求めていた。8月25日にジュネーブで退任記者会見に臨んだバチェレ氏は「40カ国」程度の国から公表に反対する書簡を受け取ったと説明。「大きな圧力を受けているが、それによって公表しなかったり、公表を差し控えたりすることはない」と強調していた。【ニューヨーク隅俊之】
毎日新聞より転用
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