イージス艦に長射程巡航ミサイル搭載で政府調整…「反撃能力」想定した設計に
- 政治・経済
- 2022年8月17日
政府が建造を計画している「イージス・システム搭載艦」に、地上の目標も攻撃可能な国産の長射程巡航ミサイルを搭載する方向であることが16日、わかった。ミサイル防衛に加え、自衛目的で敵のミサイル発射基地などを破壊する「反撃能力」を想定した設計とする。建造費抑制のため、通常の「単胴船型」とすることも固まった。
複数の政府関係者が明らかにした。政府は、地上配備型迎撃システム「イージスアショア」の配備断念を受けた代替案として、2020年12月にイージス・システム搭載艦を2隻建造することを決めた。今ある海上自衛隊のイージス艦8隻は、沖縄県・尖閣諸島を含めた海域で活動するのに対し、イージス・システム搭載艦は、常時、日本海で北朝鮮のミサイル警戒にあたることを想定している。イージスアショア用に米企業から購入契約済みのレーダー「SPY7」のほか、巡航ミサイルを迎撃できる「SM6」の搭載も決まっている。
新たに搭載する方向となったのは、陸上自衛隊の「12式地対艦誘導弾」を改良した巡航ミサイルで、改良後は射程を約1000キロ・メートルまで伸ばし、艦艇にも搭載できるようになる。
政府は、年末までに国家安全保障戦略など3文書を改定し、自衛隊の「反撃能力」の保有を打ち出す方向で調整している。日本海に常時展開するイージス・システム搭載艦に長射程巡航ミサイルを搭載すれば、抑止力の強化につながる。
一方、船体については当初、波の影響を受けにくいなどの理由から、複数の胴体を組み合わせた「多胴船型」も検討していた。しかし、戦闘用の艦艇としての開発実績が少ない上、建造費が膨らむ可能性があることから「単胴船型」とすることにした。近く公表する見通しだ。
船体の型式が決まったことから、防衛省は早期に船体の設計を開始したい考えだ。23年度予算の概算要求で、建造に向けた関連経費を計上する方針だ。船体の完成までには5年以上かかると見込まれている。
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