トランプ氏宅捜索 共和党内に「反発」と「静観」 中間選挙控え
- 国際
- 2022年8月10日
米連邦捜査局(FBI)が8日に共和党のトランプ前米大統領の居宅を捜索したことについて、共和党からはトランプ氏に近い議員を中心に反発の声が上がった。今年11月の上下両院選を含む中間選挙まで3カ月を切ったタイミングだけに「捜査権の政治利用だ」との批判が目立ったが、トランプ氏と距離を置く上院の党指導部は静観し、共和党内の路線対立も浮き彫りになった。
米メディアによると、FBIは8日、トランプ氏が大統領在任中に作成された公文書を南部フロリダ州の居宅に不正に持ち出した行為に関連して捜索した。国立公文書記録管理局(NARA)は今年1月に居宅から15箱分の公文書を回収していたが、さらに文書が残されていた可能性がある。
ただ、FBIを傘下に置く司法省は今年6月に居宅を訪れ、文書の保管状況などについて、トランプ氏側の弁護士から聞き取りをしていた。8日になって強制捜査に踏み切った理由は不明で、トランプ氏は「これまでも関係機関には協力してきた」と反発している。
トランプ氏に近い党下院トップのマッカーシー院内総務は8日、司法省に対して「(捜査権を)政治的な武器として使うことは、もう我慢の限界だ」と強調。中間選挙で共和党が下院の多数派を奪還した場合、司法省の運営状況を独自に調べる方針を示し、ガーランド司法長官に「文書を保存し、予定を開けておけ」と警告した。ステファニク下院議員総会議長も「バイデン政権は政敵を攻撃するために司法省を武器として使っており、ただちに調査が必要だ」と同調した。
上院司法委員会の重鎮でもあるグラム上院議員は「中間選挙まで100日を切っているタイミングで、前大統領への捜査を始めることは、問題があるという以上のことだ」とFBIを批判した。
一方、FOXニュースによると、トランプ氏と距離を置く党上院トップのマコネル院内総務は9日、記者団から捜索について問われたが、返答を避けた。ナンバー2のスーン院内幹事もFBIの捜索についてコメントしていない。マコネル氏らは、終盤戦に入った中間選挙の党予備選でトランプ派が躍進することが無党派層などの反発を招き、11月の本選で不利になると懸念しており、トランプ氏の擁護を避けているとみられる。
バイデン政権や民主党は静観する構えだ。ホワイトハウスのジャンピエール報道官は9日の記者会見で、事前にバイデン氏やホワイトハウスは捜索に関する報告を受けていなかったことを明らかにした上で「司法省の独立した捜査だ。進行中の犯罪捜査についてはコメントしない」と述べた。ペロシ下院議長は「法の支配を信じている。大統領経験者であっても、法を超越する存在ではない」と述べた。
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