「非主流派」起用で結束アピール=岸田首相、政権安定を重視―内閣改造
- 政治・経済
- 2022年8月10日
岸田文雄首相(自民党総裁)が、最小派閥の森山裕前国対委員長を選対委員長に起用するのは、党内の「非主流派」を取り込むことで、結束をアピールする狙いがある。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と政治の関係や、安倍晋三元首相の国葬をめぐり、世論の逆風は強まっている。政権基盤の安定には挙党態勢の構築が不可欠と判断した。
© 時事通信 提供 報道陣の取材に応じる自民党の森山裕前国対委員長=2021年12月16日、東京都内
「わが国が直面する難局突破のためには政府・与党の結束がこれまで以上に重要だ」。首相は9日、長崎市の記者会見でこう強調した。
森山氏は、菅義偉前首相、二階俊博元幹事長に近く、首相と距離がある。会長を務める森山派は所属議員7人。国対委員長を歴代最長の4年余り務め、調整能力の高さは党内有数だ。首相には、衆院小選挙区を「10増10減」する区割り改定案をめぐり、難航必至の党内調整をベテランの手腕で乗り切る思惑もある。
複数の関係者によると、首相は当初、菅氏の副総理起用を模索したようだ。昨年の党総裁選で首相がいち早く名乗りを上げ、結果的に菅氏退陣の引き金を引いたこともあり、両者は微妙な関係が続いていた。最近は首相が助言を求めるなど接近の兆しもあったが、菅氏は8日の番組収録で「(入閣は)考えていない」と明言した。
旧統一教会や国葬などが火種となり、政権の足元は揺らいでいる。報道各社の世論調査でも内閣支持率が下落傾向を示す中、首相に批判的な議員の間からは「菅氏や森山氏を使わないなら承知しない。政権の終わりの始まりになる」との声が出ていた。
党内は歓迎している。二階派幹部は、森山氏から9日朝に「選対委員長を受ける」と電話があったと明かし、「(非主流派が)四役に入った。挙党態勢だ」と笑顔を浮かべた。党関係者は「据わりのいい人事だ。政権は安定するだろう」と語った。
ただ、菅氏は引き続き無役にとどまる見通し。周辺からは、非主流派の結集を視野に、先送りしてきた勉強会の開催を求める声が上がる。無派閥の閣僚経験者は「次の政局に向けてフリーハンドを確保したいのだろう」との見方を示した。
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