コロナ融資詐欺、医療コンサル会社代表「融資元の関連機関」と詐称か
新型コロナウイルスの影響で経営が悪化した医療・福祉施設から、融資の仲介を装い現金をだまし取ったとして大阪府寝屋川市議ら5人が詐欺容疑で逮捕された事件で、医療コンサルタント会社代表の北村隆史容疑者(60)=大阪市=が「融資元の関連機関」と偽り施設側に近付いていたことが捜査関係者への取材で判明した。事件では全国の施設が受けた十数件の融資計30億円以上のうち十数億円が詐取されたとみられ、福岡県警は言葉巧みに融資の利用を勧誘していた手口の解明を進める。
県警によると、容疑者5人のグループが悪用したとされるのは、厚生労働省所管の独立行政法人「福祉医療機構(WAM)」(本部・東京)が2020年2月に始めた融資制度。コロナ禍で患者が減るなどした医療機関や福祉施設が、減収の程度に応じて一定額まで無担保・無利子で融資を受けられる。
捜査関係者によると、被害を受けた堺市の福祉施設は20年7月以降、知人を介してグループと知り合い、面談の場で融資仲介の説明を複数回受けていた。その際、北村容疑者は自身が代表を務める会社を「WAMの関連機関」と虚偽の説明をした。同席した自称無職、渡部秀規容疑者(48)=大阪市=も自らを「WAMの関連機関の審議官」と偽り、施設側に「融資の権限を持つ」などと説明したという。寝屋川市議の吉羽(よしば)美華容疑者(42)も施設側に名刺を渡し、公的な立場を強調。いずれも施設側を信用させ、融資を申し込ませる狙いがあったとみられる。
県警は1日、5人が共謀して20年7~12月、この福祉施設に「自分たちに貸付金の半額を支払えば特別に融資を受けられる。融資金は返済できなくても民事責任を追及されない」などと偽ってWAMから融資を受けさせ、貸付金の半額(約6000万円)を仲介料名目で詐取したとして逮捕した。【土田暁彦】
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