ロシアがウクライナ東部と南部の民間地区を激しく砲撃=ウクライナ当局 作物に放火か
- 国際
- 2022年7月11日
ウクライナ東部や南部の現地当局は9日、ロシア軍のミサイル攻撃や砲撃で、市街地の破壊が広がっていると述べた。民間人の死者が出ているという。さらに現地警察は、ロシア軍が意図的に小麦などの作物を燃やしていると非難した。
東部ドネツク州シヴェルスクではロシア軍の攻撃で民間人4人が死亡したと、現地のパウロ・キリレンコ知事は述べた。同州ドルジキウカの民間地区も砲撃被害に遭い、スーパーが破壊されたという。
BBCは最新の攻撃について詳細を確認できていない。
ロシア軍はドネツク州全域を掌握しようとしているものの、地上部隊は過去24時間で大きく前進していない様子。
ウクライナ当局はさらに、北部ハルキウや南部ミコライウとクリヴイ・リで、ロシア軍のミサイル攻撃があったと報告している。
現地のヴァレンティン・レズニチェンコ州知事は、クリヴイ・リでロシア軍のグラート・ロケット砲が学校や住宅を破壊したと明らかにした。41歳の女性が死亡したという。
ウクライナ軍は現在、南部ミコライウの防衛に勢力をつぎ込んでいる。ミコライウは黒海北岸に注ぐ南ブーフ川河口部に面し、河港がある。ウクライナの主な輸出拠点オデーサに至る位置にあるため、戦略的にきわめて重要な地点となっている。
ロシア海軍は今も黒海に面するオデーサ港を封鎖し、ウクライナが滞留する穀類を海路で輸出できないようにしている。
ウクライナのイリナ・ヴェレシチュク副首相は、南部へルソン州とザポリッジャ州でロシアが占領支配する地域から、住民は避難するよう呼びかけた。この退避勧告は、現地でのウクライナ軍による反撃の前触れとみられている。
ロシア軍はヘルソン市を占領しているものの、ウクライナ軍はヘルソン州の一部を奪還している。
ロシア軍が作物を燃やしている=現地警察
ヘルソン州の警察は、ロシア軍が意図的に作物を燃やしていると批判した。警察は燃える畑の写真をフェイスブックに投稿し、「大規模な火災が毎日起きている。何百ヘクタールもの小麦や大麦、その他の穀類がすでに燃やされてしまった」と書いた。
ヘルソン州警察はさらに、ロシア軍が穀物倉庫や農機具を破壊し、地元住民による消火活動を妨害していると非難している。
今後の標的は
ロシア国防省は、ドネツク州クラマトルスクに近いチャシウ・ヤルで、アメリカ提供の榴弾砲「M777」が保管されていた格納庫を破壊したと発表した。ドネツク州でロシア軍は次の主要戦略目標として、スロヴィヤンスクとクラマトルスクを制圧しようとしていると見られる。
アメリカ政府は今後さらに、高精度のロケット砲システム4基をウクライナに提供するとしている。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、アメリカから提供を受けた高機動ロケット砲システム(HIMARS)を使い、ロシア占領地域の弾薬庫や倉庫を攻撃し、ロシア軍が簡単に補給できないようにしていると説明している。
イギリス政府によると、ウクライナ兵の訓練のためにすでにイギリス国内の陸軍基地が使用されている。今後数カ月のうちに、最大1万人のウクライナ兵を訓練する方針。
イギリス国防省は最新の戦況報告で、ロシアが国内から予備役を招集し、今後の作戦に備えてウクライナ近くに配備していると指摘。ただし、そうして増員される部隊の多くは「場当たり」的に兵を集めたもので、「旧式や不適切な装備で配備されている」という。
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