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柔道女子金メダル素根輝「東京以上の覚悟必要」パリ五輪への危機感明かす


3月に左膝を手術した東京五輪柔道女子78キロ超級金メダルの素根輝(パーク24)が西日本スポーツの単独インタビューに応じ、2連覇を目指す2024年パリ五輪への思いと葛藤を明かした。東京五輪から間もなく1年を迎えると同時に、パリ五輪まで残り2年。準備期間の短さを実感する21歳は「東京五輪以上の覚悟を決めないとパリには出られない」と危機感を募らせた。(聞き手・構成=末継智章)

◇ ◇ ◇

―昨夏の東京五輪からもうすぐ1年。

昨年最大の目標だった金メダルを取ることができたのは大きかった。一方でモチベーションの維持という点で、パリ五輪に向けて東京までのサイクルを繰り返すというのは、なかなか覚悟が決まらない部分があった。

―東京五輪は危なげなかった。

誰よりも練習し、ここまでやったら負けないという状態までつくることができたので冷静に闘えた。納得いくまで稽古をするため、個別に合宿をして1日5、6時間練習したので。男子高校生を相手に真剣に乱取りをすると疲れが取れない。おかげで精神的に強くなった。

―東京五輪後は“燃え尽き症候群”のような感じもあった。

ありましたね。東京五輪まですごく苦しかった分、五輪後はやる気が出ない日もあった。柔道やりたくないなって。

―東京五輪混合団体決勝で痛めた左膝の半月板を今年3月に手術した。

手術は初めてで不安があったけど、痛みの方が勝っていた。自分の中では次にけがをしたら手術をしようと考えていた中で、3月に再び痛めたので踏み切った。

―6月に入って本格的に稽古を再開。再び前を向けた原動力は。

パリまで期間がない中で、他の人は試合をやっていて。本当に時間がない、頑張らないといけないと逆に腹をくくれた。時間はずっと進むので、流れに身を任せる。

―代表に内定していた9月のアジア大会が延期になった。

試合したかった。9月なので調子を上げていけると思っていた。

―秋の講道館杯の出場が免除されるには、国際大会で一定の成績を残す必要がある。

どこを復帰戦にするかはあまり考えていない。自分の中では、けがを治してちゃんと試合に出られる状態にしたい。

―パリ五輪では2連覇が期待される。

東京五輪までの過程よりパリ五輪までの方が苦しいと思っている。これまで以上の覚悟を決めないとパリには出られないし金メダルは取れないという危機感がある。

―最大のライバル、フランス勢の地元で闘う。

グランドスラム・パリ大会に2回出たけど、お客さんと選手の距離が近く、盛り上がりがすごくてライブ会場みたいだった。試合では自分の世界に入りたいタイプで、東京五輪は無観客だったので集中できたけど、次はコーチの声も届かなくなると思う。

―将来のプランは。

決めていない。とりあえずパリまで頑張ろうと。また金メダルを取ることができたら、そこから考え方が変わってくると思う。今は負けたくない気持ちが一番。技や組み手、トレーニングで力負けしないパワーをつけるなど、全ての面でもっと強くなりたい。

◆パリ五輪を巡る代表争い

2年後のパリ五輪を巡る代表争いは本格化している。女子78キロ超級は冨田若春(コマツ)が2月のグランドスラム(GS)パリ大会や4月の全日本選抜体重別選手権(西日本新聞社など共催)、体重無差別の全日本女子選手権を制覇。10月の世界選手権(タシケント)代表に選ばれた。延期になった杭州アジア大会(中国)の代表に入った素根が続く。

世界選手権代表は国内選考の重要なステップとなる講道館杯(10月)の出場を免除される。アジア大会代表も3位以上なら免除されたが延期になったため、6―7月の主要国際大会で3位以上に入る必要がある。8月開催が決まったアジア選手権(カザフスタン・ヌルスルタン)には優先して派遣され、3位以内で免除される。

◆素根輝(そね・あきら)2000年7月9日生まれ。福岡県久留米市出身。小学1年で柔道を始め、田主丸中から南筑高へ。2、3年時に団体戦の金鷲旗で2連覇に貢献。全日本選抜体重別選手権女子78キロ超級3連覇や、体重無差別の全日本女子選手権での2連覇を経て19年夏の世界選手権同級で優勝。昨夏の東京五輪も同級を制し、混合団体では銀メダルを獲得した。162センチ、110キロ。

西日本スポーツより転用


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