板倉滉のボルシアMG移籍を担当記者が読み解く…W杯初戦のドイツを知り尽くす絶好のチャンス
- スポーツ
- 2022年7月4日
© スポーツ報知/報知新聞社 板倉滉
サッカーのドイツ1部ボルシアMGは2日(日本時間3日)、イングランド・プレミアリーグのマンチェスターCから日本代表DF板倉滉(25)を完全移籍で獲得したと発表した。契約期間は26年6月末まで4年間。ドイツ紙ビルトによると、移籍金は500万ユーロ(約7億500万円)。背番号は3に決まった。自身初となるドイツ1部クラブへ移籍が決まった背景、11月開幕のカタールW杯に向けた影響を、星野浩司記者が「読み解く」。
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板倉の新天地がボルシアMGに決まった。本拠地で背番号3のユニホームを着て「ファンの皆さん、こんにちは。滉はここにいます」と笑みを浮かべ、英語で語る動画がクラブSNSで公開された。3日にキャンプに合流し、4日に入団会見を行う。
昨季、ドイツ2部シャルケで31試合4得点で1部復帰に貢献。だが、財政的な問題で買い取りオプション行使は見送られ、シャルケ所属のまま1部でプレーする希望はかなわず。フランクフルトやホッフェンハイムなどドイツ勢、プレミアリーグ勢など約10クラブが関心を示した中、ボルシアMGが争奪戦を制した。
移籍金は約7億500万円。同クラブの今夏補強の“目玉”とされる。60~70年代に優勝5回を誇り、昨季10位の古豪復活の切り札として期待は高い。ビルクス・スポーツダイレクターは「彼は我々の計画の重要な構成要素」と歓迎。板倉を「強じんな走力と戦術的規律を持った選手。6番(ボランチ)を含むさまざまなポジションでプレーできる」と評した。昨季はシャルケで本職のセンターバック(CB)に加え、終盤はボランチでプレー。守備のユーティリティー性や攻撃力の評価は高く、今季開幕(8月上旬)から定位置獲得へ期待は大きい。
板倉の自宅があるデュッセルドルフからシャルケは車で約50分、ボルシアMGは車で約40分の距離。住環境を移さずに通うことができる。ドイツ国内の移籍で言語の問題もなく、英語でコミュニケーションも堪能。カタールW杯5か月前の移籍だが、環境面の変化、負担が少ないのはメリットだ。
ドイツ1部はFWミュラーやニャブリ(ともにバイエルン)らW杯初戦で対戦する同国代表勢がズラリ。強度、スピード、戦術。本大会前に世界レベルを体感できるのはプラスでしかない。板倉は6月の日本代表で全4戦に出場。低調だった吉田麻也、負傷が続く冨安健洋らがいるCB、遠藤航が君臨するボランチと“二刀流”でプレーでき森保一監督(53)の信頼も厚い。「絶対に出たい」と語るW杯を、自身初のブンデス1部から見据える。(星野 浩司)
◆ボルシアMG 1900年創設。本拠地はドイツ西部ノルトライン・ウェストファーレン州のメンヘングラッドバッハ。ホームスタジアムはボルシア・パーク(5万4057人収容)。74~77年シーズンにドイツ1部で3連覇するなど、60~70年代に5回優勝。ドイツ杯優勝3回、UEFA杯(現・欧州リーグ)優勝2回。昨季はリーグ10位。2011~12年にはFW大津祐樹(現磐田)がプレー。
◆板倉 滉(いたくら・こう)1997年1月27日、横浜市生まれ。25歳。小4から川崎の下部組織で育ち、2015年にトップチーム昇格。18年に仙台へ期限付き移籍。19年1月にマンチェスターCに完全移籍後はフローニンゲン(オランダ)で3季、21―22年はシャルケに期限付き移籍。19年の南米選手権でA代表デビュー。昨夏の東京五輪は全6試合に出場。A代表通算12試合1得点。186センチ、75キロ。右利き。
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