尾崎野乃香、東京・金メダルの川井友香子倒してV 女子62キロ級は「自分の階級」パリ・金メダルへ一直線
- スポーツ
- 2022年6月21日
女子62キロ級は、昨年の世界選手権銅メダリスト・尾崎野乃香(19)=慶大=が、21年東京五輪金メダルの川井友香子(24)=サントリービバレッジソリューション=を3―1で破る大金星。24年パリ五輪V候補に名乗りを上げた。東京五輪覇者も続々登場し、須崎優衣(22)=キッツ=は50キロ級、志土地(しどち、旧姓・向田)真優(24)=ジェイテクト=は非五輪階級の55キロ級を制した。勝者は9月の世界選手権(セルビア・ベオグラード)代表となった。
19歳の挑戦者は、強気に攻め続けた。尾崎は五輪女王に1ミリも動じることなく、「最後は絶対に勝つ」と信じた。初対戦の川井に、序盤0―1とリードを許すが、積極的な姿勢でポイントを重ね、最後は逆転勝利した。「本当に頑張ってきて良かった。本当に思います」と頬が緩んだ。表彰台でメダルと賞状を手にすると、大きな瞳からあふれ出たうれし涙。絶対的な自信を得て、次世代を担う新星は、24年パリ五輪まで突き進む。
小2の時、テレビで見たレスリングにひかれ、水泳との“二刀流”で競技を始めた。当初は1秒でも早くレスリング場に行きたくて、水泳の練習後、ぬれた髪のまま自転車をこいで猛スピードで移動。練習した技を試合で出し、点を取って勝つことの楽しさを知った。「どんどん強くなりたいと思った」と、のめり込んだ。
昨夏の東京五輪金メダルの須崎や、乙黒拓斗(自衛隊)を輩出したJOCエリートアカデミー出身で、昨年4月から慶大の環境情報学部に進学した。レスリングと同様に「勉強も好きでやっていた」と話し、ここぞの集中力は周囲も驚くほど。決めたことは必ずやり切る気持ちの強さも尾崎の強みだ。レスリングでは「62キロ級はもう絶対に自分の階級だと思って。絶対に62キロ級を守って、五輪に出場したい」と堂々宣言してみせた。
今秋の世界選手権では、昨年大会で涙をのんだ自身への雪辱を込め、初の世界チャンピオンを目指す。そして、12月にはパリ五輪の選考を兼ねる全日本が待つ。川井を倒し、これからは追われる立場となるが、「ここで油断するつもりは全くない。攻めるレスリングが誰にも通用するように、これから練習をもっと積む」。貪欲に、強気に、夢舞台の頂点まで19歳は、歩みを止めない。(小林 玲花)
◆尾崎野乃香(おざき・ののか)
▽生まれ 2003年3月23日、東京都。19歳。
▽出身校 東京・帝京高卒。高校時はJOCエリートアカデミーで腕を磨く。現在は、慶大環境情報学部。
▽主な成績 18年ユース五輪金メダル。21年世界選手権銅メダル。22年アジア選手権金メダル。
▽名前の由来 春のエネルギッシュな香りが広がっていくように。
▽幼少期 川でザリガニを釣ったり、夜遅くまで自分の基地をつくったり、活発。また、「YouTube」を見ながら一人で工作をするなど器用な一面も。
▽憧れ 吉田沙保里さん。
▽身長 164センチ。
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