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サントリー、「桜」夕食会に酒を無償提供 識者「違法献金の可能性」


© 朝日新聞社 「桜を見る会」であいさつする安倍晋三首相(中央、当時)=2019年4月13日、東京都新宿区の新宿御苑(代表撮影)

安倍晋三元首相の後援会が「桜を見る会」の前日に開いた夕食会の費用を安倍氏側が補塡(ほてん)していた問題で、サントリーホールディングス(HD)が2016~19年の夕食会に酒類を無償提供していたことが、刑事確定記録や同社への取材で分かった。専門家は「無償提供は違法な企業献金にあたる可能性がある」と指摘している。

夕食会は政治団体「安倍晋三後援会」(山口県下関市)の主催で13~19年に開かれ、会費は5千円だった。後援会代表だった配川(はいかわ)博之・元公設第1秘書は、16~19年分の政治資金収支報告書に、安倍氏側が補塡した約708万円を含む約3022万円の収支を記載しなかった政治資金規正法違反(不記載)の罪で罰金刑を受けた。

■ウイスキーやワインなど計382本提供

朝日新聞はこの事件について刑事確定訴訟記録法に基づく記録閲覧をした。夕食会の会場となった東京都内のホテルが作成した「宴会ファイル」という資料には、17~19年にウイスキーやワインなど計382本が持ち込まれたと記され、提供元としてサントリーHDの電話番号が載っていた。

同社広報部は取材に、16年も含めた4年間、無償提供していたと認め、17~19年に提供した酒類は各15万円程度と説明。「会の開催は安倍議員事務所から教えてもらった。多くの人が集まる会だと聞き、自社製品を知ってもらう良い機会と考えて、会に無償で協賛した」と話した。同社の新浪剛史社長は安倍政権時代の14年から政府の経済財政諮問会議のメンバーだが、この点と無償提供の関連性については「コメントを差し控える」とした。

一方、安倍氏の東京の秘書は供述調書で、費用補塡は選挙区内での寄付を禁じた公職選挙法に違反すると分かっていたため、「会場に酒を持ち込んだり、料理の数を少なくしたりして、飲食代を抑えていた」と語っていた。

■「捜査機関にすべて真摯に協力した」安倍氏の事務所

政治資金規正法は、企業や団体が寄付できる対象を政党か政党が指定する政治資金団体に限定している。岩井奉信・日大名誉教授(政治学)は、サントリーHDが無償提供した相手は安倍晋三後援会と考えられ、後援会は「その他の政治団体」になるため、「違法な寄付にあたる可能性がある」と指摘。「安倍氏側は無償提供の経緯を説明すべきだ」と話した。

後援会を含む安倍氏の関連団体の収支報告書に同社からの寄付の記載はない。安倍氏の事務所は30日、同社からの酒類の無償提供や違法性について「捜査機関には質問の事実を含め、すべて真摯(しんし)に協力し、その結果の処分だったと認識している。収支報告書は処分結果を踏まえ、訂正すべき点は適正に修正している」と答えた。

朝日新聞社より転用

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