橋本大輝、あん馬と鉄棒で3度落ちても「逃げ切った感じ」で連覇 内村航平以来も「全く満足していない」
- スポーツ
- 2022年5月16日
◆体操 ▽NHK杯(15日・東京体育館)
男子個人総合は、昨夏の東京五輪金メダルの橋本大輝(20)=順大=が2連覇を達成した。あん馬で1度、鉄棒で2度の落下があったが、持ち越された4月の全日本総合予選・決勝の得点との合計で257・793点で逃げ切った。1・365点差で2位の神本雄也(27)=コナミスポーツ=と、3位の土井陵輔(20)=日体大=が決定済みの橋本とともに世界選手権(10月29日開幕・英リバプール)の代表に決まった。
満身創痍(そうい)の橋本は、王者らしい演技で締めくくれなかった。最終種目の鉄棒は「攻められるかな」と直前練習でF難度「リューキン」(伸身トカチェフ1回ひねり)を試すも、落下して腹部を強打。大技を回避して難度を下げた本番は、終盤に腕の疲れを感じ、離れ技コスミックでバーをつかみきれず、再開後も同じ技でまた落下。着地を止めても「めっちゃ悔しい試合だった。逃げ切った感じ。全く満足していない」と、09~18年の内村航平以来となる連覇にも自らのふがいなさに肩を落とした。
大会前に「膝以外の関節が全部痛い」と語り、臨んだ大一番で、東京五輪の種目別で金メダルを獲得した得意種目で大きなミスをし、あん馬でも落下。この日だけの得点では12位に沈んだ。「ここまで(状態が)きついと難しい」。苦しい中での演技を身をもって学んだ。
世界中のライバルから追われる立場になり、複数種目で新技を投入した代償で練習から体の負担は増える一方。「やっている技は難しいことばっかり。20歳を超えた瞬間にきつくなった」。疲労を抱えながらも「体にうそを言い聞かせ、やった結果がこうなった。休む勇気をもう1段階踏む」と調整法や練習を見直すきっかけを得た。
とはいえ、立ち止まるつもりはない。昨年は0・017点差で逃した世界選手権の個人総合制覇に向け、跳馬で最高難度の「ヨネクラ」など「やっていない技の完成度を上げたい」という。練習では完成形に近付いており、「体を休めて万全な状態を作れれば(技も)戻ってきてくれる」と自信をのぞかせた。
東日本学生選手権(19~21日・高崎アリーナ)に出場を予定し、全日本学生選手権(8月・三重)で超高難度プログラムを披露する可能性もある。24年パリ五輪での2連覇、その先も見据えた道はまだまだ長い。「自分を守りながら」一歩ずつ、着実に進化を続ける。(大和田 佳世)
◆橋本 大輝(はしもと・だいき)2001年8月7日、千葉・成田市出身。20歳。佐原ジュニアで6歳から競技を始める。市船橋高3年時の19年世界選手権に白井健三以来、史上2人目の現役高校生で出場し、団体銅メダル。19歳で出場した21年東京五輪は個人総合で史上最年少金、種目別・鉄棒で金、団体で銀メダルを獲得。全日本選手権、NHK杯はともに21、22年大会優勝。得意種目は鉄棒。167センチ。
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