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センバツ圧巻V大阪桐蔭の“侵攻”に日本中の高校から怒りの声! 関東、東北が“草刈り場”に


■ファンもどっちらけ

決勝で近江を破り、4年ぶり4度目の優勝を果たして喜ぶ大阪桐蔭ナイン(C)日刊ゲンダイ

© 日刊ゲンダイDIGITAL決勝で近江を破り、4年ぶり4度目の優勝を果たして喜ぶ大阪桐蔭ナイン(C)日刊ゲンダイ

「大阪桐蔭と他校の対戦は、まるで大企業と零細企業の戦い。豊富な資金力を背景に全国からトップクラスの中学生だけを集め、圧勝を続ける。あまりに力の差があり過ぎて、相手チームがかわいそう。見ていて不快に感じました」

こう嘆くのは野球ファンで作家の吉川潮氏だ。

■決勝でも近江に18-1の完勝

センバツ高校野球は31日、決勝が行われ、優勝候補の大阪桐蔭が近江(滋賀)相手に18-1の圧勝で4年ぶり4度目の優勝を成し遂げた。春夏合わせた日本一は9度目だ。前日の準決勝では13-4で国学院久我山(東京)に大勝、28日の準々決勝では市和歌山(和歌山)に17-0の圧勝。この優勝で、昨秋の大阪大会から負けなしの20連勝とした。

全国各地から集めたプロ顔負けの凄まじい戦力である。1番・伊藤櫂人(岐阜)、3番・松尾汐恩(京都)ら9人が昨秋の公式戦で本塁打を放った。28日の市和歌山との準々決勝は、大会最多タイの1試合6本塁打。4番・丸山一喜(大阪)は30日、大会タイとなる8打席連続安打をマークした。決勝でも先発全員の16安打4本塁打を放ち、大会新の11本塁打とした。投手陣も凄い。川原嗣貴(大阪)、別所孝亮(岐阜)の3年生コンビに、2年生の前田悠伍(滋賀)はいずれもプロ注目という豪華な布陣だ。高校野球雑誌「ホームラン」元編集長の戸田道男氏がこう言う。

「野球が盛んな地元・大阪の選手がほとんどいないメンバー構成です。1ケタの背番号では4番の丸山のみ。ベンチ入りでは18人中4人だけです。小学6年時に100メートルで全国4位になったという身体能力の高いセンター海老根優大は千葉の京葉ボーイズ出身。『ついに千葉まで手が伸びてきたか』と地元で話題になりました。昨年、大阪桐蔭から西武に入団した仲三河優太は栃木の小山ボーイズ出身。数年前まで関東の子には手を出さなかったのですが、仲三河を皮切りに、関東にも進出してきた印象。関東の強豪校は戦々恐々としています」

大阪桐蔭希望の中学生情報を収集

選手集めのアンテナは全国に張り巡らされているという。戸田氏が続ける。

「大阪桐蔭から声が掛かるのはトップの中学生ですが、スカウトは親を含めて『大阪桐蔭に入りたい』という中学生の情報を収集します。興味があるということは、覚悟があるということ。基本的に投手を指導する石田寿也コーチが中学生のスカウト活動を担当していて、主に交渉が難航した時は西谷浩一監督が直接出馬して口説きます。もともと本人や親が興味を持っているので、春夏合わせて史上最多の甲子園7度優勝の西谷監督に言われれば、他に決まっていてもひっくり返る可能性が高い。今年度の新入生には楽天シニア出身の選手がいます。これからは東北も草刈り場になるでしょう」

■小6大砲をスカウト

こんな情報もある。ある高校球界関係者の話。

「関東に体が大きくて有名な小学生スラッガーがいた。その子が小6の時に出場した大会を西谷監督が見ていて『高校になったらぜひうちに』と声を掛けたそうです」

元横浜高野球部部長の小倉清一郎氏は「高野連はそろそろ県外出身者の野球留学を規制するルールを作る時期がきているのではないか」とこう指摘する。

「少子化の今、私学の経営はどこも苦しい。入学者やベンチ入りメンバーの人数を規制するのではなく、『スタメンは県外出身者4人まで』など、試合に出場する人数を制限するのです。それでも抜け道はあって、中学3年の2学期や3学期に地元の中学に転居させるという方法がある。これは一部の有力校が実際にやっている。一家揃っての転居はいいが、個人的な転居は認めないなど、高野連が細かく規制すること。ここまでやらないと意味がありません。大阪桐蔭の全国1強時代。これでは高校野球がつまらなくなってしまいます」

ロシアのウクライナ侵攻が米国をはじめとする西側諸国の猛バッシングにあっているが、大阪桐蔭の草刈り場になりつつある全国の強豪校からは「いい加減にしろ!」という怒りの声も上がっている──。

日刊ゲンダイDIGITALより転用


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