伸び悩む学校弁当 一斉注文、「温かい状態」 工夫と議論 神奈川
- 政治・経済
- 2022年2月23日
神奈川県大磯町は2022年度から、町立中学校2校でクラス全員が年に1回、一斉に弁当を注文する「クラスランチ弁当」を始める。町立中の給食は「まずい」などと不評のデリバリー方式の弁当が休止された後、2021年9月に注文方式の弁当を始めたが、注文数が伸び悩んでいる。町は一斉注文で弁当の味をアピールし、注文する生徒を増やしたい考えだ。【本橋由紀】
町立中の給食を巡っては、16年1月に業者が届けるデリバリー方式の弁当を導入。「おいしくない」と不評で食べ残す生徒の率が26%に上ったうえ、17年7月までに毛髪や虫などの異物混入が84件あったため、同年10月に製造業者との契約を解除した。その後は生徒が家庭弁当を持参するなどしている。
給食再開に向け、町は21年9月から希望者を対象にした注文弁当を始めた。減農薬の米や地元産の野菜、手作り調味料を使う一方、輸入食材は使わない弁当を1個500円(おかずのみは400円)で販売。ところが、同年11月1日現在で生徒計761人のうち、利用登録しているのは約100人で、注文するのは多い日で20人にとどまる。
注文数が伸び悩む理由について、町の担当者は「弁当を持参する生徒がほとんどなので『自分だけ弁当を注文するのは嫌』という空気があるようだ」と説明する。このため、クラス単位で一斉に弁当を注文するクラスランチ弁当を各クラスが年に1回実施することにした。まず味を知ってもらうことで注文数の増加につなげる狙いがある。
町は22年度当初予算案にクラスランチ弁当事業40万円のほかに昼食支援補助金5200万円を盛り込んだ。昼食支援は生徒1人あたり1食300円を補助するもので、学期ごとに各世帯に支給する予定だ。中崎久雄町長は「給食再開のめどは立っていないが、それまでの方策を打ち出した」と話している。
横浜市は配達式 「温かい状態」工夫
デリバリー形式の弁当による給食を巡っては、県内最大の基礎自治体である横浜市でも紆余(うよ)曲折をたどっている。
市内の公立中学校では2020年度まで、選択制の配達弁当「ハマ弁」が採用されていた。ところが「冷たい」などと評判が芳しくなく、21年3月時点で選択した生徒は12・1%。同年4月からは学校給食法上の「給食」とすることで衣替えしたが、配達弁当という方式は維持し、委託先業者が調理・盛り付けをして各校に配達している。
1食330円の負担で食べることができる弁当は、ごはん、おかず、汁物、牛乳のセットが基本。ごはんと汁物は、配送時の容器を工夫することで「温かい状態で提供」(市教育委員会)している。
市教委によると、こうした弁当を選択する生徒は、21年12月時点で全学年の20・7%。学年別では、1年生32・2%▽2年生17・9%▽3年生11・0%――で、新1年生に利用を推奨する「さくらプログラム」を86校で実施したことで利用率が上がったとみられる。22年度は、このプログラムを弁当が選択できる全ての学校に拡大して実施する。
ただ、21年8月に就任した山中竹春市長は、市長選での公約として「選択制をやめて全員が食べる方式(全員喫食)にし、給食費負担軽減」と掲げているため、今後も方式などが議論の的になる。市は22年度以降にニーズ調査などを実施し、検討を進める考えだ。
毎日新聞より転用
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