警視庁「4課」消滅 「かつてはヤクザも一目」 犯罪収益対策課新設
- 政治・経済
- 2022年1月29日
警視庁は28日、組織犯罪対策部を4月1日付で再編すると発表した。犯罪で得た資金の出所を分からなくするために国内外の口座間で送金などを繰り返すマネーロンダリング(資金洗浄)対策に特化した「犯罪収益対策課」を全国の警察で初めて設置する。
警視庁は組対部が発足した2003年4月、組対総務課内に資金洗浄の対策室を設置しており、約110人体制に増員して対策課に格上げする。電子決済システムなどを悪用した犯罪の増加にも対応する。
暴力団の実態把握と捜査で役割を分担していた3課と4課は「暴力団対策課」に、外国人の不法滞在などを取り締まる1課と殺人や強盗などの凶悪事件を担当する2課は「国際犯罪対策課」にそれぞれ統合する。5課は「薬物銃器対策課」に改称する。
警視庁は「業務を抜本的に見直して統合・合理化を図り、体制を強化することにした」としている。
一方、警視庁組織犯罪対策部の再編で、60年以上にわたり暴力団捜査の第一線を担ってきた「4課」の名称が3月末で消滅する。伝統があるだけに、捜査員やOBからは残念がる声も聞かれる。
警視庁に「4課」が新設されたのは1958年。当時は刑事部の「捜査4課」で、大規模な対立抗争事件などを繰り返す暴力団を取り締まった。2003年に組織犯罪対策部が発足すると「組織犯罪対策4課」がその役割を引き継いだ。
「脈々と続いてきた『伝統の4課』にプライドを持っている」と語るのはあるベテラン捜査員。二つの「4課」を経験した元刑事は「かつてはヤクザも一目置いていた。若い組員は『4課』と聞いてもピンとこないので仕方ないが寂しい」とこぼす。一方で別の元刑事は「ブランド力は時代とともに変化する。新組織で実績を残し、恐れられればいい」と前向きにとらえる。
警視庁幹部によると、再編のメリットは「対策と取り締まりを一体化させることで情報を集約し、柔軟かつ迅速に対応できる」ことだ。「『4課』の魂が消えるわけではない。暴力団対策課が新たな象徴になればいい」
警察庁によると、警視庁以外で「4課」の名称が残っているのは、21年4月時点で北海道、埼玉、千葉、静岡、愛知、大阪、広島の7道府県警。いずれも「捜査4課」だという。
毎日新聞より転用
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