「d払い」を悪用、詐欺容疑で首謀者ら逮捕 巧妙な手口とは
- 詐欺師情報
- 2022年1月25日
NTTドコモのスマートフォン決済「d払い」が悪用され、クレジットカード情報で高額な家電品が繰り返しだまし取られた事件で、愛知、徳島両県警の合同捜査本部は首謀した男らの逮捕にこぎ着けた。公共事業者を装うなどして言葉巧みに個人情報を聞き出していたほか、フィッシングメールなどで個人情報を抜き取っていた可能性がある。その具体的な手口とは――。【森田采花】
事件に関与したとして詐欺容疑などで検挙されたのは、首謀者とみられる名古屋市天白区笹原町、古物商、梅本直弥容疑者(34)ら計13人にのぼり、計約4200万円の被害が確認されている。
梅本容疑者らは、不正に入手した他人のクレジットカード情報を入力したd払い決済アプリを使い、家電量販店などで高額な家電品を繰り返し購入。これらの商品を転売して利益を得ていたとみられる。購入は、アプリが入ったスマートフォンを渡された「買い子」役が実行していた。
合同捜査本部などによると、梅本容疑者らは、不正にクレジットカード番号を入手したカードの契約者に、水道局などを装って電話をかけ、「水道料金に関する問い合わせですが、どちらの銀行口座をお使いですか」などと尋ね、個人情報を聞き出していた。この個人情報をカード会社に伝え、利用上限額を上げて次々に高額商品を購入していたという。
そもそも、クレジットカード番号はどのように抜き取られたのだろうか。捜査関係者によると、フィッシングメールで被害に遭った可能性が高いという。被害者の元にはフィッシングメールとみられるメールが届いており、被害者らはクレジットカード番号や氏名、生年月日などを入力していたという。
フィッシングメールは大手通販会社や保険会社、通信事業者などを装う場合が多く、メールに記載されたURLから個人情報を入力する画面へと誘導される。セキュリティー強化や緊急の連絡などと入力を急(せ)かす文面が多い。民間団体「フィッシング対策協議会」(東京)に報告があった2021年のフィッシングメールは52万6504件で、前年比30万1828件増と急増している。
セキュリティー機能の活用推奨
協議会事務局の吉岡道明さんは「新型コロナの影響でネットショッピングを利用する人が急増したため、通販会社をかたるフィッシングメールが増えてきている」と指摘。迷惑メールフィルターの強化などセキュリティー機能の活用を推奨する。その上で「まずは不審なメールのURLはクリックしないこと。個人情報を入力する画面になったら一度立ち止まり、事業者に確認するなどしてほしい」と呼びかけている。
毎日新聞より転用
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