ドイツ、「脱原発」まっしぐら 福島事故後に一転、再エネ普及に注力
- 国際
- 2021年12月27日
地球温暖化対策として、欧州で原子力発電を再評価する動きが出るなか、ドイツが「脱原発」を着々と進めている。10年前、日本の原発事故をきっかけにかじを切った。原発の負の側面を直視し、再生可能エネルギーの普及に注力している。
今月末、1基の原発が営業を終える。「笛吹き男」の伝説で有名な西部ニーダーザクセン州ハーメルンから南に約8キロ。人口1万人弱の町エンマータールにある「グローンデ原発」だ。
高さ約150メートルの冷却塔2塔から、白い蒸気が上る。東京電力福島第一原発とは異なる加圧水型炉で、出力は1360メガワット。1984年に稼働後、これまで何度も年間発電量で世界一になったという。
ミヒャエル・ボンガルツ所長は今月1日の記者会見で「発電所の状態は良く、悲しい瞬間だ。私たちは安全で安定した電力を供給するという使命を情熱を持って果たしてきた」と誇った。
■22年末に全廃へ
リース州環境エネルギー相は関係者の貢献をねぎらいつつ、「地域で一つの時代が終わる。脱原発は政治的な正しい決断だった」と述べた。今後、長い年月がかかる廃炉作業に電力会社とともに取り組む決意も示した。
ドイツでは、メルケル前首相が前任のシュレーダー政権の脱原発の方針を覆し、原発の「延命」を決めた。ところが約半年後の2011年3月、東京電力福島第一原発事故が起きた。メルケル氏は方針を百八十度転換し、17基あった原発を段階的に止めることにした。現在、稼働するのは6基。発電量の約14%を原発が占める。今月中に3基が停止し、22年末までにすべて止まる予定だ。
今月発足したショルツ政権も、脱原発の方針を引き継ぐ。さらに脱石炭火力のペースも前政権より速め、電源に占める再生可能エネルギーの比率を現状の40~50%から30年までに80%に上げる方針だ。
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