「ウイグル産品は強制労働で生産とみなす」米国、輸入禁止法成立へ
- 国際
- 2021年12月17日
米議会上院は16日、中国新疆ウイグル自治区の産品を原則として輸入禁止とする「ウイグル強制労働防止法案」を全会一致で可決した。下院はすでに可決しており、バイデン大統領の署名で成立する。中国政府による少数民族ウイグル族弾圧問題への対抗措置の一つだが、同自治区の産品を米国に輸出する日本企業への影響は必至だ。
同法案は、同自治区の産品すべてが強制労働で生産されたとみなし、米国への輸入を原則禁止する。米税関・国境警備局(CBP)から輸入許可を得るには、生産過程で強制労働が行われていないことを証明する必要がある。輸入禁止措置は法律成立から180日後に発効する。
ホワイトハウスは同法案について「ウイグル自治区での強制労働に対処しなければならないという議会の意見に同意する。議会と協力し、世界の製品供給網(サプライチェーン)から強制労働を排除する」と支持を表明しており、バイデン氏が近く署名するのは確実だ。
トランプ前政権は、ウイグル族に対する人権侵害への対抗措置として、弾圧に関係する企業や個人への制裁措置を相次いで発動。2019年10月以降、中国の監視カメラ大手のハイクビジョンなど関係企業・団体に輸出禁止措置を発動したほか、21年1月には同自治区に由来する綿、トマト製品の輸入を全面禁止するなど規制を強化した。これにより、米税関が今年1月、ファーストリテイリング傘下の衣料品店「ユニクロ」のシャツの輸入を差し止めるなど、日本企業にも影響が出ていた。
これまでの制裁対象は特定企業や品目に限定されていたが、今回の法案では同自治区全体が輸入禁止措置の対象となる。同自治区は、綿花や砂糖、トマト、太陽光発電パネルの素材となる「ポリシリコン」の世界的な生産地で、同自治区の産品をサプライチェーンから完全に除外するのはハードルが高い。
米産業界は「中国と深く結びついた米国のサプライチェーンに大きな打撃を与える」と同法案に反対していたが、中国の人権侵害阻止で足並みをそろえるバイデン政権と議会は産業界の抵抗を押し切った形だ。【ワシントン中井正裕】
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