米竜巻、ケンタッキー死者80人 バイデン大統領「史上最大級」
- 国際
- 2021年12月13日
米南部や中西部の6州で10日夜~11日未明に発生した竜巻の被害は拡大し、南部ケンタッキー州のビシア知事は12日までに同州だけで死者が80人に上るとの見方を示した。行方不明者の捜索が続いており、犠牲者はさらに増える可能性がある。米国立気象局によると、竜巻の報告は30件以上あり、約400キロにわたって被害を及ぼした例もあったという。
地元の東部デラウェア州で演説したバイデン大統領は今回の竜巻が米史上最大級の一つとの認識を示し、「悲劇だ。連邦政府としてできることは何でもする。我々は団結して対処していく」と強調した。
竜巻は南部ケンタッキー、アーカンソー、ミシシッピ、テネシー、中西部イリノイ、ミズーリの計6州で報告された。米メディアによると、ケンタッキー州メイフィールドでは稼働中のろうそく工場が全壊し、複数の従業員が死亡した。イリノイ州エドワーズビルにあるインターネット通販大手アマゾンの倉庫も損壊し、少なくとも6人が死亡した。アーカンソー、テネシー、ミズーリの各州でも死者が確認されている。
10日にはテネシー州メンフィスの最高気温が平年より約15度高い約26度を記録するなど、冬としては異例の暖気が被災地周辺を覆っていた。西から来た寒気とぶつかって大気が不安定になり、竜巻が発生した可能性がある。
中西部や南部の平野部は「竜巻街道」と呼ばれ、メキシコ湾側から吹き込む暖かく湿った南風と、西のロッキー山脈側から吹き下ろす寒風がぶつかって竜巻が発生しやすい。しかし過去の竜巻被害は3~6月が多く、12月に発生するのは珍しい。
バイデン氏は11日、ケンタッキー州での非常事態を宣言し、連邦緊急事態管理局(FEMA)や国土安全保障省に救援活動を支援するよう指示した。バイデン氏は被害発生当時、週末を地元の自宅で過ごすためにホワイトハウスを離れていた。11日朝に被害の報告を受けたが、そのまま地元で対応し、予定通り12日午後にワシントンに戻った。【ワシントン秋山信一】
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