ミャンマー内戦状態に 国軍との民主派「防衛戦」で 国連特使
- 国際
- 2021年10月22日
【ニューヨーク=平田雄介】国連でミャンマー問題を担当するバーグナー特使は21日の会見で、国軍のクーデターに抵抗する民主派が9月7日から「防衛戦」と名付けた武装闘争を開始して以降、「ミャンマー全土で武力衝突が起きている」と述べ、同国が内戦状態に陥ったとの認識を示した。約300万人の同国民に支援が必要となる中、双方に「妥協や対話の意思はない」と述べ、事態打開に向けて国連安全保障理事会の対応強化を求めた。
クーデターは2月1日に発生。安保理は声明で「民主化を支援する」と表明、昨年11月の総選挙で大勝した国民民主連盟(NLD)を率いるアウン・サン・スー・チー氏らの即時解放を求めてきたが、防衛戦の開始後はミャンマーを議題とする会合を開いていない。
防衛戦で、民主派の「挙国一致政府」(NUG)勢力は装備や資金力で上回る国軍に対し、隊列を狙った地雷攻撃や基地への砲撃などゲリラ戦を展開。地元メディアを通じ約1カ月間の戦闘で国軍兵士1562人が死亡したと主張するなど戦果を強調している。
バーグナー氏は「内戦」は国際的な法律用語ではないと断った上で、ミャンマーの現状は国内で軍隊と武装集団などが激しく衝突する「非国際武力紛争だ」と指摘。「最後の手段として暴力が正当化される中、明らかに国際社会の行動が欠けている」と訴えた。
防衛戦を始めるまで、民主派は国軍の抑圧に対して平和的に抗議する姿勢が支持されていた。武装闘争路線への転換で、最近は民主派への批判が「内外で高まっている」とも述べた。
同氏のもとには「新たな軍政を受け入れるより死を選ぶ」という民主派からのメッセージが多く届いているといい、紛争の拡大に伴い「状況は急激に悪化している」と懸念を示した。
その上で「約1年前の選挙で民主派を選んだ国民の意思は守られるべきで、国際社会と国連は国軍を受け入れる合図を送ってはならない」と強調。年末にかけて審議される国連でのミャンマー代表権は、国軍が指名した退役軍人のアウン・トゥレイン氏ではなく、NLD政権に任命された民主派支持のチョー・モー・トゥン国連大使に帰属するべきだとの見解を示した。
バーグナー氏によると、クーデター後の国軍の抑圧による市民の死者は1180人を超えた。国内の避難民はクーデター後に約21万9千人増え、合計で約58万9千人に達した。人道支援を必要とする人も200万人増えたとしている。
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