中国の詐欺グループ容疑者、東南アジアから続々帰国 戻らなければ…
- 国際
- 2021年10月5日
東南アジアを拠点とする中国の詐欺グループに加わって指名手配された容疑者が続々と帰国している。公安省によると、今年の帰国者は少なくとも5万人超。習近平(シーチンピン)国家主席の指示のもとで当局が摘発を強化しているためとみられ、「戻らなければ親戚の家を破壊する」といった極端な措置をとる地域もある。
公安省や中国メディアなどによると、詐欺グループは国外からSNSのやりとりなどで恋愛感情を抱かせ、架空の投資話に勧誘するなどしている。拠点はカンボジアやフィリピン、ベトナムなど各地に及ぶが、特にミャンマー北部に集中し、人集めのために陸路国境の違法な出入国の手引きもしているという。
習氏が4月に「この種の犯罪を断固として抑えよ」と取り締まり強化を指示。各地の警察当局が「帰国を促す」として、指名手配を受けても期限までに出頭しない容疑者の銀行口座の凍結などを次々に通知。福建省莆田市内では、「違法な金で建てた」容疑者の家族や親戚の家を破壊する▽住居地にペンキなどで詐欺犯罪者だとする印を付ける▽子どもの都市部の学校への進学を禁じる、などが通知された。
こうした措置で帰国して当局に出頭する容疑者が急増し、今年のミャンマー北部からの詐欺容疑に関連する帰国者は5万4千人に上っている。中国メディアによると「楽に月1万元(約17万円)稼げるし、食事や住まいも保障される」「コールセンターのような仕事だ」などの誘い文句で詐欺に関わるとは知らずに出国した人も多いといい、帰国者らの「出国後すぐに身分証を奪われて自由に動けなくなった」「逃げようとして殴られたり銃で撃たれたりした人がいる」などとの声が報じられている。(瀋陽=平井良和)
朝日新聞社より転用
コメントする