時代への対応力失う・組織力は無視できない…次期衆院選へ目立つ世襲
- 政治・経済
- 2021年8月30日
次期衆院選へ不出馬を表明したベテラン議員の後継として、その息子ら親族が地盤を引き継ぐ世襲が目立っている。世襲は「地盤、看板(知名度)、カバン(資金)」を生かせる利点がある一方、多様な人材の政界入りを妨げるとの批判もある。
自民党の竹本直一・前科学技術相(80)(大阪15区)は27日、次期衆院選への不出馬を表明した記者会見で、自身の娘婿の名前を挙げ、「府連で彼を選んでもらえるなら、引き継ぎたい」と語った。府連が実施する公募前に、事実上の後継指名を行った形だ。
同党では、引退表明した塩崎恭久・元官房長官(70)(愛媛1区)、山口泰明選挙対策委員長(72)(埼玉10区)の後継が県連の公募を経て、それぞれ長男と次男に決まった。三重2区も、川崎二郎・元厚生労働相(73)(比例東海)の後継が長男となった。立憲民主党でも、荒井聰・元国家戦略相(75)(北海道3区)が退き、長男が出馬する。
自民党は2009年、衆院選の政権公約に「3親等以内は公認しない」と世襲制限を明記した。党内で旗を振ったのが、当時選対副委員長だった菅首相だ。ただ、その後も公募を前提に世襲は認められてきた。二階幹事長は「人物がいいかどうかで最終決定している。世襲だから良いとか、悪いということではない」と主張する。
世襲には、人材の多様性を損ない、時代への対応力を失うとの批判が根強い。党青年局は5日、候補者選定にあたっては「青年世代・女性・非世襲」の人材を登用するよう執行部に求めた。新型コロナウイルス対応で批判を受け、内閣支持率は低迷しており、党幹部は「厳しい選挙が予想される中で、世襲の組織力は無視できない」と漏らす。
読売新聞より転用
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