顔を認識して名前を呼ぶ「あみちゃん人形」、タカラトミーがシニア向けに発売 持ち主以外は少し“塩対応”
- 政治・経済
- 2021年8月19日
タカラトミーは8月18日、AIを活用して持ち主の顔を認識し、会話するコミュニケーション人形「うちのあまえんぼ あみちゃん」を発表した。コロナ禍で人と接する機会が減ったシニア層に向けて8月27日から販売する。価格は2万7500円(税込)。
胸のブローチにカメラと画像認識チップを搭載。抱き上げると持ち主の顔を認識し、「ミツ子おばあちゃん」などと名前を呼んで会話を始める。着ている服の色も認識し「ナチュラルなグリーンをうまく取り込んでるね」などと話題にする。
おしゃべりは約1600語の組み合わせで25億通り。カレンダーを内蔵し、持ち主の誕生日を祝ったり、エイプリルフールには嘘をついたりもする。
一方、顔を登録していない人が抱き上げた時は「適当な、差し障りのない世間話しかしない。その(対応の)違いも楽しんでほしい」という。
外観は「大人も愛でたくなる容姿」を目指した。幼児体型で顔はドールタイプ。髪には「リカちゃん」人形と同じドール用ヘアを植毛した。
両目のまぶたが開閉する他、頭や右手など6カ所にセンサーやスイッチを内蔵し、頭をなでたり、握手したりすると反応する。寝かせると目を閉じるため「寝かしつけ」のような遊び方もできる。
電源は単二形乾電池4本とデータ保持のためのボタン電池。「1日1時間ほど遊んだ場合で1カ月ほどは持つ」。
開発を担当したタカラトミーの多田翔平さん(ネクスト事業室 企画開発課 係長)は顔認識について「写真を嫌うお年寄りも多いが、あみちゃんの顔認識は画像ではなく特徴点(目や口の位置など)のみを記録する仕組み。照明の変化などで判別しにくい時は『ミツ子おばあちゃんなの?』などと確認し、持ち主ならその場でデータを追加して認識精度を上げる学習アルゴリズムも導入した」と話している。
保存できる特徴点データは10まで。10を超える場合、認識に最も使われていないデータに上書きする仕様だ。
販売ターゲットは65歳から75歳のアクティブシニア。タカラトミーは「約600万人が一人暮らしでコロナ禍で人と会う機会も減った。『張り合いがない』『会話が減った』など悩みを抱えている人は多い」と指摘する。しかし、あみちゃんを先行体験した人は「皆、笑顔になった」。
諏訪東京理科大学の篠原菊紀さんと協力し、あみちゃんと遊ぶお年寄りの脳活動を調べたところ、言語野の他に“脳トレ”のターゲットになる前頭前野などが活性化していた。篠原さんは「特に、あみちゃんに名前を呼ばれると脳では注意に関連する部位の活動が上がり、空間認知に関わる頭頂連合野の活動も一気に高まる。リアルなコミュニケーション以上の脳の活性化が期待できそう」としている。
ITmedia NEWSより転用
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