イラン ライシ新大統領就任「米による制裁の全面解除を」
- 国際
- 2021年8月6日
イランの反米保守強硬派のエブラヒム・ライシ新大統領(60)は5日、就任宣誓式での演説で「米国による違法な制裁は全て解除されねばならない」と述べ、ロウハニ前政権から引き継いだ核合意正常化交渉で制裁の全面解除を求める姿勢を示した。米国側は「テロ組織」とみなすイランの精鋭軍事組織・革命防衛隊に関する制裁などは維持する方針とされ、両者の間接協議は難航が予想される。
ライシ師は演説でイランの核開発について「完全に平和的なものだ」と強調し、「最高指導者のファトワ(宗教令)で核兵器は禁じられており、国防戦略に核の余地はない」と訴えた。制裁に対しては「イラン発展の権利を圧力で断念させることはできない」として、「解除達成のためあらゆる外交プランを後押しする」と語った。
一方、中東における対外政策に関しては「地域の危機は地域内の対話で解決されるべきだ」と語り、米国の影響力排除を目指すイラン外交の原則的な立場を踏襲。近隣アラブ諸国に対しては「温かく握手を交わす」と対話姿勢を示した。
式典には、米・イランの間接協議で仲介役を務める欧州連合(EU)欧州対外活動庁のモラ事務局次長、イラクのサレハ大統領、アフガニスタンのガニ大統領、ロシアのボロージン下院議長らが出席。ライシ師はこうした要人との会談もこなし、大統領としての職務を本格的に開始した。【カイロ真野森作】
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