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侍ジャパン、坂本が決めたサヨナラ発進!九回執念3点でミラクル逆転


執念の逆転劇だ!! 1次リーグが始まり、正式競技として初の金メダルを狙うA組の日本はドミニカ共和国に4―3で逆転サヨナラ勝ちし、白星スタートを切った。六回まで1安打に封じられた打線が、2点を追う九回に奮起。適時打とスクイズで追い付き、坂本勇人内野手(32)=巨人=が中越えに適時打を放った。稲葉篤紀監督(48)が率いる侍ジャパンがサヨナラ発進。31日は横浜スタジアムに舞台を移し、メキシコと対戦する。

日本中が福島の空の一点を見つめた。中堅手は打球を追わず、侍たちはベンチを飛び出してヒーローを追いかけた。1-3で迎えた九回、逆転サヨナラ勝利の物語を完結させたのは坂本の中越え適時打。1次リーグ初戦を制した稲葉監督が顔をほころばせた。

「みんなが後ろにつなごうという気持ち、最後まで諦めない気持ちが一つになった」

4位だった2008年北京五輪以来13年ぶりに実施された野球競技。日本は正午開始の開幕戦に臨んだ。気温28度。福島県営あづま球場は異様な熱気と湿度に包まれた。打線はドミニカ共和国の先発左腕メルセデス(巨人)に翻弄され、六回まで1安打。0-0の七回には2番手の青柳が2点二塁打を浴び、均衡を破られた。坂本が「すごく重い雰囲気で試合が進んでいると思っていた」と振り返る大劣勢だった。

1-2の八回1死二塁では、吉田正の左前打で三塁を蹴った山田が本塁憤死。稲葉監督はリプレー検証を求めたが、判定は変わらず。捕手が走者の走路をふさいだとしてコリジョンルールも訴えたが、聞き入れられなかった。

それでも、りんとして作戦を繰り出し続けた。一度は食い下がった審判の背中にソッと触れるなどして〝ケア〟を続け、潔く戦った。九回は1死から甲斐のスクイズを挟んで5連打。村上の適時打の後、甲斐への初球に偽装スクイズのサインを出し、空振り。2球目にスクイズを命じ、追いついた。山田がつなぎ、最後は坂本が白星を運んでくれた。

17年7月、代表監督に就任。公開競技だった1984年ロサンゼルス五輪以来、37年ぶりの金メダルを狙う指揮官にとって、坂本なしでは考えられないチームだった。

坂本が5月9日の試合で右手親指を骨折したとき、すぐに動いた。同25日、初夏のジャイアンツ球場に侍ジャパン強化本部の編成戦略担当を兼務する井端内野守備走塁コーチを送り込んだ。現役時代に師弟関係だった井端コーチにリハビリの様子を見つめさせ、対話をさせ、状況を確認させた。万全で五輪に出られると坂本を信じた井端コーチを、稲葉監督も信じた。全てがこの日につながった。

「本当にみんなでもぎとった勝利だった」と坂本。2011年3月11日の東日本大震災で甚大な被害を受けた福島県で勝ち星を手にした稲葉監督は「福島の方に何かを与えられたといいますか、何かを感じてくれたんじゃないでしょうか」と安堵(あんど)した。

19年秋の国際大会「プレミア12」の初戦では、2点を追う八回に6点を奪って逆転勝利。勢いをつけ、世界一を達成した。五輪でも劣勢をはね返して白星発進。こんな幕開けを見せた物語の結末は金メダルしかない。(長友孝輔)

東京五輪日本代表で活躍した山田、村上にヤクルト・高津監督「(安打が)1本ずつ出て良かった。興奮もするだろうし、緊張もするだろう。いい顔をしてプレーしているなと思いました」

◆坂本流リーダーシップ

坂本は、尊敬する松田(ソフトバンク)のように大声で鼓舞するタイプではなくても、自己流のリーダーシップが侍ジャパンの潤滑油になっている。強化合宿中は積極的にナインに話しかけ、輪を広げた。「自覚のある選手が集まるので、しゃかりきになって(リーダー役を)やりたいとは思っていない」と言いつつ自覚は行動に表れた。巨人で阿部(現2軍監督)から主将を引き継ぐ際に教えられたのが「『昨日、何を食ったんだ』とか一言でいいから、毎日みんなと話せ」。会話は仲間意識を生む。巨人での7年の主将経験が代表でも生きている。

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サンケイスポーツ


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