増え続ける「道の駅」 近くでホテル開業も相次ぐ
- 政治・経済
- 2021年7月5日
運転手の休憩場所としてだけでなく買い物や飲食もできる「道の駅」。1993年に初めて登録されてから数は増え続け、1千カ所を超えた。国は観光や地方活性化の拠点として「世界ブランド」に育てたい考えで、企業も熱視線を送っている。
道の駅は国土交通省が認可し、市町村や公的な団体が設置する施設だ。道路情報などを伝える「情報発信」、いつでも無料でトイレや駐車場を使える「休憩」、文化や娯楽施設などを提供する「地域連携」の三つの機能を備える必要がある。
毎年10カ所以上増え、93年末時点の115駅が今年6月には1193駅に。登録が取り消されたのはわずか2駅のみだ。国交省の担当者は「インバウンド(訪日外国人客)も取り込み、道の駅自体が『目的地』になった影響が大きい」とみる。
道の駅「川場田園プラザ」(群馬県川場村)は、国交省から代表的モデルの一つに認定された。敷地内にブルーベリー公園があり、夏場は来場者が無料で摘み取れる。ビールやヨーグルトもつくって販売し、陶芸体験などもできる。コロナ禍前の来場者は年200万人程度。7割が県外からで、リピーターも7割を占めた。運営会社の永井彰一社長は人気の理由を「顧客ニーズを徹底的に考えて毎年新サービスを出すなど、常に変化を続けているから」と説明する。
大手企業も注目し、積水ハウスと米マリオット・インターナショナルは昨年以降、京都や岐阜など5府県の道の駅の近隣に13ホテルをオープン。レストランがない宿泊特化型で、周辺の飲食店や観光地も案内する。2025年までに25道府県に広げる計画だ。
コロナ禍前、急増した訪日客が向かった先は都市部の有名観光地が目立った。ただリピーターは日本らしさを求めて地方に関心を持つ傾向があり、道の駅が観光拠点として生かせそうだ。積水ハウス道の駅プロジェクト運営統括室の渡部賢室長は「観光客の滞在時間を延ばし、地域にお金が落ちる構造をつくりたい」と話す。(箱谷真司)
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メモ 積水ハウスなどが運営するホテル「フェアフィールド・バイ・マリオット・和歌山すさみ」は、道の駅すさみ(和歌山県すさみ町)の近くに6月開業した。ツインとキングの計90部屋(広さ25平方メートル)を備える。泊まる人数にかかわらず、1部屋1泊1万円から。天然温泉もある。
朝日新聞より転用
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