法人最低税率15%以上、デジタル課税導入で大枠合意 OECD
- 政治・経済
- 2021年7月2日
経済協力開発機構(OECD)は1日、国際課税のルール作りに関する交渉会合を開き、国際的な法人税の最低税率を「15%以上」に設定することで大枠合意した。7月9、10日にイタリアで開かれる主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議などで詳細を詰め今秋にも最終合意し、各国の国内手続きなどを経て2023年の導入を目指す。実現すれば国際税制にとって大きな転換点となる。
経済のグローバル化に伴い、国境を越えてビジネスを展開する巨大多国籍企業からいかに法人税を徴収するかが世界的な課題になっていた。OECDは①法人税に世界共通の「最低税率」を設ける②デジタル課税を導入する――を2本柱に据え、非加盟国を含む約140カ国・地域でルールの見直し作業を進めてきた。1日はオンラインで交渉会合を開き、大枠合意には130カ国・地域が賛同した。
現在のルールでは本社や現地法人などの物理的な拠点がない国や地域では課税することができないが、デジタル課税で拠点の有無にかかわらず、サービスが提供された国や地域であれば課税できる仕組みになる。対象は売上高200億ユーロ(約2・6兆円)、利益率10%をそれぞれ超える企業に絞る。世界で計100社程度になる見通し。22年中に多国間条約を策定し、23年の実施を目指す。
最低税率が実現すれば、税率が低い国に子会社などを置いて負担軽減を図る「課税逃れ」が難しくなる。各国政府が法人税率を自由に設定する裁量権は残るが、例えば、多国籍企業の子会社が最低税率を下回る国にある場合、親会社のある国は自国の法人税率と最低税率との差額分を追加で課税できるようになるため、利益を海外に移転するメリットは減少する。
国際課税ルールを巡っては、6月5日にロンドンで開かれた日米欧の主要7カ国(G7)財務相会合が、最低税率「15%以上」など具体策で合意していた。【横山三加子(ロンドン)、町野幸】
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