中国、チベット「白書」で欧米の批判に反論 統治の成果強調
- 国際
- 2021年5月22日
中国政府は21日、チベット自治区に関する「白書」を発表した。チベット自治区での経済発展や貧困解消の成果を強調し、チベット族の言語や伝統文化を保護していると主張。少数民族への人権問題を巡って批判を強める欧米諸国に反論した。
白書は中国共産党がチベットを「解放」したとする1951年5月23日から70年を迎えるのを前に公表された。白書では「共産党の強固な指導の下、政教一致の封建農奴制を廃止し、チベットの社会システムの歴史的な飛躍を達成した」として、共産党による統治の成果を強調。チベットの地域別総生産は51年に1・29億元だったが、2020年には1900億元まで増大したと説明し、経済発展や生活水準の向上をアピールした。
現地の宗教については「信教の自由は完全に保障されている」とする一方で、「『宗教の中国化』の方針に基づき、チベット仏教を社会主義に適応させるように導く」と強硬な姿勢ものぞかせた。
また欧米諸国を念頭に「西側の反中勢力は、チベットの安定を損なうことを試みて継続的に介入してきた」と批判。インドに亡命しているチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世に関しても「祖国を分裂させようとしている」と非難した。
チベットを巡っては、今年3月の米中外交高官会談で、ブリンケン米国務長官から新疆ウイグル自治区や香港と共に人権が侵害されていると指摘されたことから、中国側は強く反発していた。【岡崎英遠】
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