ホリエモンが新球団を設立 球界再編から17年、福岡・北九州で独立リーグ参戦
- スポーツ
- 2021年5月22日
実業家のホリエモンこと堀江貴文氏(48)は21日、西日本新聞の取材に応じ、北九州市を本拠地とするプロ野球独立リーグの新球団を設立する計画を明かした。球団名は「福岡北九州フェニックス」で4月に同市で運営会社を設置。今年始動した九州アジアリーグへの来季からの参入を目指し、加盟申請を開始した。同氏は創立者として株主、取締役の立場で経営に参画。2004年の球界再編騒動で主役となった一人が、17年の時を経て新球団の経営に挑戦する。
■「NPBにできないことを」
堀江氏は今春の「九州アジアリーグ」新設に反応し、自身のオンラインサロンのメンバーによる球団運営を思い立った。「世界的にも前代未聞だと思う。多様化するこれからの生き方を定義する上で、有意義な時間の使い方としてスポーツはすごく大事。中でも野球は、日本ではキング・オブ・スポーツ」と力説。新球団の年間予算は約1億円と見積もり「NPB(日本野球機構)の球団をつくるのに比べたら、参入障壁は低い」と即行動に移した。
旧ライブドア社長だった2004年に楽天との球界参入争いを繰り広げた。ベンチャーでのロケット開発など幅広く活動する中、スポーツ界とも関わった。15年からJリーグのアドバイザー。昨年サッカークラブもつくって東京都社会人リーグに参入した。バスケットボールでは18、19年にBリーグ福岡で取締役。昨春3人制チームも設立した。
野球では今年2月、ルートインBCリーグ埼玉のアドバイザーに就任。その前から九州アジアリーグ設立に関わった熊本・火の国の神田康範社長と連絡を取っていた。堀江氏にとってBリーグ福岡の取締役時代の社長。自らの故郷福岡で機会を模索した中、出資者の縁もあり北九州市にたどり着いた。
球団名は「福岡北九州フェニックス」。公募も検討したが、04年当時に公募で挙がった「仙台ライブドアフェニックス」から継承した。「仙台でできなかった不死鳥が、17年越しに北九州で復活するのも面白いでしょ。ユニホームも(当時の)フェニックスのデザインを踏襲する」と笑う。
■清原氏、新庄氏も呼ぶ!?
理念は「独立リーグなりの、もっとライトな楽しみ方を。NPBにできないことを」。飲食や娯楽を含めて多様な観戦スタイルを提供するボールパークの構築を挙げる。またBCリーグの出場規定緩和の動きにも触れ「ゲスト選手もいる。例えば清原(和博)さんが1打席でも出てくれたらうれしいじゃないですか。新庄(剛志)さんも福岡出身」とビッグネームのゲスト参戦構想もぶち上げた。地域貢献、地方創生というリーグ理念に沿う活動も検討中だ。
球団社長はオンラインサロンのメンバー槇原淳展氏(30)。今年2月から北九州市に拠点を移し、体制づくり中だ。福岡県を本拠地とするソフトバンクにも関係者を通じ、新球団の動きを報告した。本拠地は北九州市民球場を予定。同球場はアマも含めて試合が多く、近隣の球場利用へ各自治体と折衝中という。選手は初年度約25人の見込み。設立の正式発表は今夏以降の見通しで、並行して監督などの人選も進める。選手はトライアウトなどで獲得することになりそうだ。
株主、取締役としての堀江氏は「基本的にオンラインで関わる」という。「あまり文句は言わず、大きな方向性を間違わないように。あとはスポンサー集めを手伝ったり」と支える役目を自任。「新球団なので、ある程度、自由にさせてもらいつつ…。とはいえ、野球界のことなので。諸先輩方をしっかり立てながら」と殊勝に語った。
◆堀江貴文(ほりえ・たかふみ)1972年10月29日生まれ。福岡県八女市出身。久留米大付設高を経て東大在学中に起業。旧ライブドア社長も務め、2004年の球界再編では近鉄球団の買収や新球団でのプロ野球参入の意向を表明した。05年には衆院選に立候補。現在は北海道に創立した宇宙ベンチャーでのロケット開発や、会員制オンラインサロンの運営、有料メールマガジンの配信などを行っている。
-新球団設立の経緯は。
オンラインサロン発のプロスポーツチームってないなということで、去年の春、3人制バスケの「HIUゼロケッツ」をつくった。(野球の)独立リーグの話があった時「うちのオンラインサロンでやると超いいんじゃねーの」と。最初はざっくり僕の地元の福岡でと話して、北九州とか良さそうじゃない?という感じになって、人が集まった。
-どんな魅力を発信?
野球というコンテンツは花見でいう花。でも「花より団子」って言葉がある。みんなとご飯を食べて酒を飲みながら、桜も見る。(2004年当時に)MLBの球場にも何カ所か行って、勉強させてもらった。本当の意味でのボールパークって重要だなと。ガチファンを否定するわけじゃなく、年に何回かしか来ない、ライトなお客さんを受け入れる環境をつくりたい。
ー具体的なイメージは。
VIP席はグラウンドの目の前とか、ベンチ裏とか、内野席のテレビカメラとか入ってる一番いい所にしたらいい。楽天はやっているのかな。この間(試合を)見に行ったんですよ。マー君ファンの高価なVIPチケットとか、ああいうこともやりたい。海外のプロスポーツの年間シート、VIP室って社交の場になっている。北九州も政財界の人が社交の場で使えるようになるといい。将来的にどっかの球場を借りるなり、買うなりして、すごく豪華な場所をつくりたい。
ー交流も活発になる。
最終的にはNPBも12球団より16球団になった方がいいし、何ならアジアと連携して24球団までエキスパンション(拡張)してもいいと思ってるぐらい。
ー北九州も手を挙げる?
既存の12球団は(球団を)増やしたくないでしょうけど、僕はビジネス的にポストシーズンの放映権も高く売れると思うし、いいと思いますよ。九州からもう1チームぐらいNPBの球団をつくろうよとか、そういう動きにつながればいいなと。
ーかつて公募で決めた球団名がフェニックス。
1位は「ジェンキンス」だったんですよ。ネット投票すると2ちゃんねるで悪ふざけするやつらが…。あったでしょ。「タイム」か何かの表紙を田代まさしにするとか、ワケわかんない…まあ、今でもそうだと思うんですけどね。2位がフェニックスでした。
◆九州のプロ野球独立リーグ 新設された「九州アジアリーグ」が今春開幕。熊本・火の国と大分の2球団で争い、ソフトバンク3軍や他の独立リーグ球団との交流戦も行っている。熊本・火の国は社会人の熊本ゴールデンラークスが母体で、大分は新球団。加盟には審査があり、運営体制や資金面、球場確保などの条件がある。
かつて九州には別の独立リーグ構想があり、福岡県には2008年から「福岡レッドワーブラーズ」があったが、資金難で09年限りで活動をやめ、リーグ構想は消滅した。
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