【鬼筆のスポ魂】「メジャー厳しい」ラミレスの予言的中の筒香どうする 植村徹也
- スポーツ
- 2021年5月15日
“ラミレスの予言”は的中した。「筒香はメジャーリーグでは相当厳しいだろうね」。あれは2年前の2019年2月、DeNA監督時代のアレックス・ラミレス氏(46)が、当時米大リーグ入りを目指していた筒香嘉智外野手(29)が渡米後に活躍する可能性について、厳しい見通しを語っていたが、それが現実になった。
レイズは11日、筒香をメジャー登録の40人枠から外し、戦力外通告したと発表した。今後は7日間のウエーバー期間を経て、フリーエージェント(FA)として他球団への移籍、もしくはマイナー降格を選択する。他球団がウエーバー期間中に獲得を申し込めば、今季年俸約700万ドル(金額は全て推定)の残り分を支払わなけばならない。そこから考えると、自由契約になることが確定的だ。
筒香は19年12月にポスティングシステムを利用し、レイズと2年総額1200万ドルで契約した。しかし、メジャー1年目の昨季はコロナ禍でシーズンが短縮される中、51試合に出場し打率1割9分7厘、8本塁打、24打点と期待を裏切った。2年目の今季も26試合に出場し、打率1割6分7里、0本塁打、5打点、三振率31%と低迷していた。
レイズのキャッシュ監督は「ヨシ(筒香)はあれだけのプロ。彼はとても練習熱心で、全てのことをやっていた。異なる文化、初めての投手など全てがチャレンジでタフなことだったと思う」と、野球に取り組む姿勢については最大級の賛辞を贈っていたが、開幕36試合消化時点で40人枠から外したことが“戦力評価”の全てを表している。
DeNA(横浜時代を含め)では、通算10シーズンで通算打率2割8分5厘、205本塁打、613打点を記録。16年には本塁打王と打点王の2冠に輝いた日本のスラッガーはどうして、大リーグでは結果を出せなかったのか。まだ筒香がメジャー挑戦をほのめかしていた段階の19年2月、沖縄・宜野湾春季キャンプで取材したラミレス監督はこんなことを話していた。
「彼はメジャーでは厳しいだろうね。どうして? 彼はインコース寄りの速いボール、強いボールが打てないんだ。メジャーではあの辺りのボールが打てないと相当厳しいよ」
筒香は打撃フォームもメジャー挑戦に向け、改造中だった。少し上げていたステップする右足をすり足に変えた。日本の投手と比べ、大リーグの投手は直球と変化球の緩急の差が少ない。なのでタイミングの取り方を変えていた。それでもラミレス監督は、自身も3シーズン在籍したメジャーのレベルを脳裏に浮かべながら、成功には否定的な見解を示した。現時点では見事に的中している。
筒香の戦力外通告を受けて、古巣のDeNA・三原一晃球団代表は「筒香選手がどのような決断をするか分かりませんが、彼を送り出した際に『日本でプレーすることになったら、ベイスターズに戻ってきてほしい』と伝えており、その思いは今も変わっていません」とラブコールを送った。チームは41試合消化時点で11勝25敗5分けの借金14で最下位。かつての4番が復帰してくれれば…という悲壮感が漂う。
ただし、夢を追って米国に渡った筒香がわずか1年半で日本に戻ってくるのだろうか。米大リーグではマーリンズ、パイレーツ、マリナーズら戦力層の薄い球団がメジャー最低年俸(約6千万円)で獲得できる筒香の“ウエーバー明け”を待っているのでは…と見る関係者もいる。筒香にはなんとか“ラミレスの予言”を覆してほしいが、どのような決断を下すのだろう。(特別記者)
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