NiziU、怒涛の6日連続番組出演で「伸び悩み説」を吹き飛ばせるか
- エンタメ
- 2021年4月10日
4月7日、NiziUのセカンドシングル『Take a picture/Poppin’ Shakin’』(両A面)がリリースされて以降、ネット上にはさまざまな反響が飛び交っている。
仕掛けた「3つのニュース」
特筆すべきは、同じ日に発表された最新「オリコン週間ストリーミングランキング」で3月29日に先行配信していた『Take a picture』が初登場1位のほか、歴代1位となる初週再生数1251.4万回を記録したこと。さらに同日、両A面のもう1曲『Poppin’ Shakin’』のミュージックビデオも解禁された。
つまり、7日に「セカンドシングルリリース」「先行配信のストリーミングランキング1位」「もう1曲のミュージックビデオ解禁」という3つのニュースを仕掛けたのだから、反響が大きくなったのは当然かもしれない。
ただ、このところNiziUは順風満帆とは言えない状態が続いていた。昨年12月2日、メディアジャックの末にリリースされたデビューシングル『Step and a step』はプレデビュー曲『Make you happy』ほど話題も結果も得られずに終了。ネット上には「伸び悩み」「ピークは過ぎた」などの批判的な記事やツイートが少なくなかった。
また、デビュー前に『NHK紅白歌合戦』への出場が決定したことや、その後のメディア露出が減ったことなどもあって、アンチの勢いを保ったまま現在に至っていたのだ。
しかし、今回のセカンドシングルがそんな停滞ムードを吹き飛ばしつつある。なかでも目を引くのは、リリースウィークに合わせた6日連続テレビ番組出演。その充実度は日本の芸能界全般を見渡しても、めったに見られないほど圧倒的なものがある。
『スッキリ』『めざまし8』に
まさかの同時出演
6日(火) 『ZIP!』(日本テレビ系)、『うたコン』(NHK)
7日(水) 『スッキリ』(日本テレビ系)
8日(木) 『SONGS』(NHK)
9日(金) 『ミュージックステーション3時間SP』(テレビ朝日系)、『バズリズム02』(日本テレビ系)
10日(土) 『HEY! HEY! NEO! MUSIC CHAMP』(フジテレビ系)
11日(日) 『M-ON!SPECIAL「NiziU」』(MUSIC ON! TV)、『JYPガールズグループMV特集』(MTV Japan)
各局の番組に出演している上に、『うたコン』『スッキリ』『ミュージックステーション』は生放送であり、『ZIP!』は新企画「mito_meets」の初回ゲスト、『SONGS』もリニューアル直後の初回ゲストというVIP待遇。
さらにさかのぼると、3月末にも24日の『Premium Music』(日本テレビ系)で『Poppin’ Shakin’』をテレビ初披露し、29日の『CDTV ライブ! ライブ! 春の4時間スペシャル』(TBS系)で『Take a picture』をフル尺テレビ初披露していた。また、リリース日の7日夜には、ネットユーザー対策として『NiziU×ABEMA「NiziU Picture」』(ABEMA)も配信される周到ぶりだった。
NiziUのメディアジャックはプレデビュー、デビューに続く3回目だが、過去2回よりもインパクトと密度の濃さで大きく上回っている。それだけ運営サイドが「勝負どころと見て気合を入れている」ということだろう。
その熱気を象徴していたのは、7日の朝9時33分ごろ、NiziUが『スッキリ』に生出演中、裏番組の『めざまし8』(フジテレビ系)が「『Poppin’ Shakin’』ミュージックビデオ解禁」のニュースを報じて、同時出演という珍現象。さらに同日の『めざまし8』オープニングトークで、MCの谷原章介がNiziUについて「かわいかった!」と熱っぽく語るシーンがあった。
間接的ではあるが、「生放送でMCが裏番組の宣伝をしている」という考えられないことが起きていたのだ。要は「それほど各局・各番組のスタッフもキャストも前のめり」ということなのだろう。
全力のプロデュースがテレビマンを魅了
NiziUがスタッフとキャストを前のめりにさせている主な理由を下記に挙げていこう。
各局のテレビマンや制作会社のディレクターなどと話をしていると、「この1年でスキルが急速に伸びている」「生放送に耐えうるパフォーマンスの質がある」「今どきテレビ番組に、積極的に出演してくれるのは貴重」「CDでも配信でも売れるアーティストは少ない」「テレビ業界で最も求められている若年層からの支持」「とにかく広告主の反応がいい」「こういうグループは日本の芸能史上いなかった」など、さまざまな長所が次々に飛び出してくる。
もはや『Nizi Project』うんぬんや、アイドルどうこうではなく、番組への貢献度が日本人アーティストの中でトップのようなのだ。
なかでもテレビマンたちを驚かせているのは、労力や手間を惜しまず、全力で数字と評価を得ようとするプロデューサー・J.Y.Parkの手腕。
たとえば、『Take a picture』は年始からコカ・コーラのCMで流されていたほか、『Make you happy』の縄跳びダンス、『Step and a step』のラビットダンスに続くナンバーダンスを仕掛けた。
しかもミュージックビデオはダンスや歌唱だけでなく、衣装やヘアメイクもめまぐるしく変え、何度でも見たくなるように作り込んでいる。
まずCMで楽曲を耳になじませて、ミュージックビデオ公開やリリースを待望させ、さらに踊ってSNSにアップしたくなるダンスを用意し、衣装やヘアメイクでも漏れなく魅了。さらに、『Take a picture』は6日にダンスに特化した動画『Dance Performance Video』も公開してファンを喜ばせた。
韓国系アーティストは好き嫌いがはっきり分かれ、いろいろ批判も受けやすいのは間違いない。しかし、「やれることはすべて全力でやり切る」というプロデュースの実行力は凄まじいものがあり、それがテレビマンたちを引きつけているのだ。
これほど強烈なメディアジャックをしているのに当の本人たちは、新人らしいフレッシュさがあり、常に笑顔で振る舞い、「ありがとう」と何度も深々と頭を下げている。
そんな彼女たちを見たテレビマンたちが「ウチの番組にも出てもらいたい」と思うのは当然であり、逆に「ウチの番組だけ出ていない」という状態は責任問題に発展しかねない。少なくとも現時点では死角がなく、アンチを封じ込めてしまいそうなほどの凄まじいタレントパワーを持っていることは確かだ。
木村隆志(コラムニスト、テレビ解説者)
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