際立つ存在感…ボクサー一家の16歳 夢はでっかく世界王者 まずは高校でも全国制覇を
- スポーツ
- 2021年3月10日
元世界王者の畑中清詞さん(54)、薬師寺保栄さん(52)を輩出した享栄高(愛知)ボクシング部から、将来有望な選手が現れた。新2年生の村田碧(16)は、日本ボクシング連盟のジュニア強化指定選手に選ばれているホープ。昨年11月の愛知県高校新人体育大会のライトフライ級を制し、岐阜県で今月行われる東海大会でも優勝を狙っている。
コロナ禍の影響で、今春予定されていた全国選抜大会は中止。昨春の入学から全国高校総体、国体と全国大会が相次いで中止となり、村田は「もうちょっと試合がしたい」と本音を打ち明ける。その分、今は己のレベルアップに注力する毎日。現在は今月の東海大会でサウスポーと対戦する可能性があるため、その対策に余念がない。
右のオーソドックスタイプ。持ち味は「パンチの回転力」といい、スピードあるコンビネーションで次々にパンチを打ち込んでいく。ライトフライ級で優勝した昨年11月の県新人大会は、開始から1分ほどで1ラウンドKO勝ち。「高校で初めての試合だったので硬かった。少し強引だったので、もっと力を抜いて柔らかくできれば良かった」。課題を口にしたが、村田の強さを知る他校の選手がエントリーを避けたため、同級は決勝の1試合のみとなった。存在感は際立っている。
ボクシングを始めたのは長崎県に住んでいた小学1年の時。元プロボクサーだった父・稔さんに憧れ、6歳上で現在はプロボクサーの兄・翼さん(22)が始めたのをきっかけに、自身もジムに通うようになった。
父からは「やるなら、ちゃんとやれよ」と念押しされたという。「ハイと答えました」と笑って振り返ったが、そこからはボクシング漬けの毎日。毎朝3~4キロのロードワークを欠かさず、父の指導も厳しかった。
「細かいことを言われる。ジャブの時に、『肘を出すな』とか。できるまで反復で練習した」
この反復練習が実戦で生きた時の達成感が、村田をさらにボクシングにのめり込ませることになる。小学2年から名古屋市に移り住み、小学5年からは愛知県豊田市にある和光ジムで練習に励むように。その小5で全国大会で優勝し、中学時代も全国優勝を経験した。
高校入学後は、コロナ禍のため練習も1日2時間程度に限られている。もどかしさもあるが、週末は他校へ出稽古し、自宅では兄と練習することもある。課題を意識しながら、腕を磨いている。
将来の目標は、最終的にはプロで世界チャンピオン。その前に、五輪出場の夢もある。「まずは高校で全国優勝したい」。コロナが収束し、全国の猛者と拳を交える機会を心待ちにしている。
▼村田碧(むらた・あおい) 2004(平成16)年5月7日生まれ、名古屋市天白区出身の16歳。169センチ。現在の階級はライトフライ級(46~49キロ)。小学1年からボクシングを始め、5年時から和光ジムで練習。父・稔さんは元プロボクサー、兄・翼さんはフェザー級の現役プロボクサー。
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