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自撮り、SNS全盛の時代に抗う…通巻300号老舗アイドル誌『アップトゥボーイ』が考える“グラビア”の意味と価値


(左)『アップトゥボーイ』1986年5月号(創刊号) (右)『アップトゥボーイ』2021年4月号(300号)  画像提供/ワニブックス© ORICON NEWS 提供 (左)『アップトゥボーイ』1986年5月号(創刊号) (右)『アップトゥボーイ』2021年4月号(300号)  画像提供/ワニブックス

 ワニブックスのアイドルグラビア誌『アップトゥボーイ』が2月22日発売号で通巻300号を迎えた。1986年の創刊以来、35年にわたって旬なアイドルの今の姿をハイクオリティなグラビアで写し出してきた同誌。アイドル自身が動画サイトやSNSで素顔を発信できる時代となった今、雑誌というスタイルやグラビアが担う役割は終わりを迎えたという見解も多い。同誌の編集長で多くの写真集も手掛けてきた一坊寺麻衣氏に話を聞いた。

■ハロプロとAKBグループの歴史的“共演”は『アップトゥボーイ』から

今日2月22日発売の『アップトゥボーイ』通巻300号の表紙を飾るのは広瀬すず。巻頭グラビアでは「天使からプリンセスへ、少女の成長」をテーマに、今や国民的女優となった22歳の彼女が15ページにわたって掲載される。

「もともとワニブックスは写真集を多く手掛けてきた出版社ですので、『アップトゥボーイ』も創刊以来一貫して、“写真集レベルのハイクオリティなグラビア”にこだわってきました。そこに“アイドルの今を捉える”という雑誌ならではの特性を加えて、弊誌では現在、1人(1組)につき多めにページを取り、写真集的に作り込んだグラビアを掲載しています」

記念すべき300号の裏表紙には、これまでの『アップトゥボーイ』の書影がズラリと並び、35年の歴史を感じ取ることができる。1999年1月発売の通巻100号の表紙は広末涼子。95年にデビューし、CMやドラマ、さらに歌で日本中を席巻していた彼女が大学生になる直前の1枚だった。

そして2010年10月発売の通巻200号の表紙は、なんと℃-uteの鈴木愛理とAKB48の渡辺麻友(ともに当時)の2ショット。今でこそ事務所を超えたアイドルが絡むことも珍しくなくなったが、老舗ハロー!プロジェクトと新勢力AKB48の史上初の顔合わせはアイドルファンを大いにどよめかせた。

「100号から200号までのあいだ、さまざまなジャンルのタレントが台頭してきましたが、『アップトゥボーイ』を支えてくれたのは、間違いなくモーニング娘。をはじめとするハロー!プロジェクトです。そこに新しい形のアイドルとして人気絶頂にあったAKB48。そのため200号では、2つのグループで同年代の2人を良きライバルとして写し出すことをテーマにしました。表紙の衣装も特別に作ったんですよ。非常に緊張感に溢れた現場で(笑)。300号では鈴木さんに当時を振り返ってもらうインタビューをしたのですが、16歳だった彼女がいろんな覚悟を背負ってあの場に立ってくれていたんだなと思うと、本誌に登場してくれたアイドルたちには本当に感謝しています」

■『あの子に出会った雑誌』としての役割を果たしていきたい

創刊当初の1986年は手の届かない存在であるアイドルが活躍する一方で、身近さを魅力としたアイドルの元祖であるおニャン子クラブが一大ブームを巻き起こし、ファンの応援によってアイドルを発掘・育成するスタイルが注目され始めた頃だった。

『アップトゥボーイ』では創刊時より誌上オーディション企画「ミス・アップ」を開催。鈴木早智子と相田翔子(のちにWinkを結成)や、和久井映見、中江有里、櫻井淳子といった人気アイドルがここから輩出された。

「数多くのアイドル誌が競い合っていたなかで、表紙を飾るような人気アイドルのほかにも、読者に『ここで初めて出会う女の子』を紹介したいという狙いがありました。現在ミス・アップは開催されていませんが、スタッフも私も、常にスターの原石を意識的に探しています」

中でも近年、特に印象的だったと振り返るのが、ネクストブレイク女優として注目度が上昇中の白石聖だ。

「彼女がまだスカウトされたばかりの2016年、たまたま事務所のホームページを見ていて目に止まったんです。ほとんどメディアに出ていない頃でしたが、『まだ何者でもないこの子を何者かにする1枚を撮りたい』という衝動に駆られて、すぐさま事務所に連絡を取りました」

当時、高校3年生だった白石にとっても初めてのグラビア撮影だった。制服をまとい、雨の中傘もささずにカメラの前に戸惑い気味に立つ彼女だったが、1枚目に収められた透明感のある佇まいに一坊寺氏は「この子は大丈夫だ」と確信したという。

その後も『アップトゥボーイ』では白石を追い続けた。それと足並みをそろえるように、白石もドラマ、CMに起用され飛躍を遂げていく。昨年には4年間の軌跡をまとめた1st写真集『白石聖 2016-2020』(ワニブックス)を刊行。300号にも、白石のグラビアが掲載される。

「今はネットで検索をかければ、ピンポイントでスピーディーに好きなアイドルの写真に辿り着けます。でも逆に、パラパラめくっているうちに目に止める“偶然の出会い”を提供できる雑誌の力はより高まっているのではないか、と自負しています。今後も読者の人生の1ページになれるよう、『あの子に出会った雑誌』としての役割を果たしていきたいですね」

■グラビアには本人も知らない輝きを写し出す力がある

創刊から続いたフィルムの時代からデジタルへと移り、『アップトゥボーイ』で撮影する写真の点数も年間で数百万枚と格段に増えた。しかしアイドルが最も輝いている瞬間を捉えるという編集スタッフの気概は、創刊から今も変わらない。

「テーマやロケ地、衣装をチョイスする段階からこだわり抜いて、いざ撮影となるわけですが、天候やその場の状況、何より被写体の気分やコンディションなど、スタッフにはなす術がない要素もあります(笑)。ところがそのすべてがプラスに重なって、奇跡の1枚が写し出されることも。予定調和じゃないからこそグラビアは面白いんですよね。グラビア誌が今も健在なのはその空気感、ドキドキ感を読者も感じ取ってくれているからなのでは? と300号まで来てつくづく実感しています」

近年は誰もが自撮りに慣れており、初めからキメ顔や角度など自分の見せ方が上手なアイドルが増えているという。一方でSNS時代の自意識と言うべきか、「グラビアより自分で撮った方が、加工も手軽にできてかわいく写る」と思い込むアイドルもいるようだ。

「ただ、私たちとしては本人も気づいていないその子の輝きを写し出し、読者と共有したい。またグラビアにはその力があると信じています。ロンググラビアもキレイに撮れた写真を並べるだけではなく、そこに物語が感じられる構成を心掛けています。そうしたグラビアならではの価値を理解してもらえるよう、これからも1枚の写真の重みというものに、しっかり向き合いたいと思います」

アイドルの自撮り写真がネットに踊り、出版不況も叫ばれて久しいが、一方で40万部を超えるような大ヒット作が生まれるなど『写真集』シーンはまだまだ活況。手軽な写真があふれた反動からか、クオリティの高いグラビアに価値を見いだす人が増えているのだろう。

何よりアイドルたちはたちまち成長していく。去年までのあの子と今年のあの子は違う顔をしているかもしれない。そんなアイドルたちの成長を追えるのが、グラビア雑誌の醍醐味だ。『アップトゥボーイ』300号の表紙のコピーにあるように、いつの時代もアイドルの「キラキラとドキドキは永遠」なのである。

取材・文/児玉澄子

 

ORICON NEWSより転用

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