EUワクチン規制、政府に緊張感 接種日程の遅れ懸念
- 政治・経済
- 2021年2月5日
新型コロナウイルスのワクチンをめぐり、欧州連合(EU)の輸出規制が日本にも影を落としている。菅義偉(すが・よしひで)首相は2月中旬の接種開始を掲げるが、詳細なスケジュールは確定していない。ワクチンには重症化阻止へ期待がかかるだけに、遅れが生じれば政権の致命傷となりかねない。
「政府を挙げて徹底した準備を進めている」。首相は4日の衆院予算委員会で2月中旬に接種を始める意向を改めて示した。ワクチンは厚生労働省が12日に部会を開き、承認の可否を審議する方向で調整。了承されれば14日にも第1弾のワクチンが到着し、15日に正式に承認する流れだ。
不安の種は、EUの域外輸出を許認可制とする規則の導入だ。ワクチン製造元が供給削減を通告したことを受け、EU内で合意された供給量が確保できない恐れがあれば輸出を認めない内容だ。日本への供給にも影響しかねない。
政府は日程に影響が出ないよう「オールジャパン」でEU側への牽制(けんせい)を強めている。茂木敏充外相は1日の日EU経済連携協定(EPA)合同委員会でワクチンの対日輸出に支障がないよう要請。河野太郎ワクチン担当相も外相時代のパイプなどを生かして関係国に働きかけている。
懸念の元はEU各国だけではない。河野氏は2日、国外から国内へのワクチン輸送を取材しないよう記者団に要請した。河野氏はその理由を「テロ」と説明したが、政府関係者は「契約の問題だ。製造元から『情報が漏れた』といわれ、日程が遅れることは避けたい」と解説する。
日程に遅れが生じればコロナ感染拡大がさらに長期化し、政権への批判もさらに強まりかねない。ワクチン接種開始が近づくにつれ、政府関係者の緊張感も高まっている。(大島悠亮)
産経新聞より転用
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