阿蘇一直線「待ってた」 住民ら横断幕で歓迎 国道57号北側復旧ルートと現道開通
- 政治・経済
- 2020年10月4日
阿蘇西インターチェンジ付近で手を振って歓迎する人たち=3日午後、阿蘇市赤水
熊本地震で被災した阿蘇地域と熊本都市圏を結ぶ国道57号の北側復旧ルートと現道が3日、開通した。大動脈寸断から約4年半。遠回りを強いられた住民や、入り込み客の低迷に悩む観光関係者からは「完全復活。真っすぐで走りやすい。復興の後押しになる」と期待の声が上がった。
北側復旧ルート通行開始の午後1時、阿蘇市赤水の阿蘇西インターチェンジ入り口では二十数台のオートバイが先導のパトカーに続いた。先頭は同市内牧で宿泊施設を営む坂東將[まさる]さん(51)。前日の午後5時半から待機し「バイクの聖地である阿蘇の新しい道を1番に走りたかった」。
沿道では、横断幕を掲げる市民らが走行車両を歓迎した。近くの島川逸氣[いっき]さん(79)は「気持ちがウキウキする。大津町の病院に行くのにも便利になる」と顔をほころばせた。
阿蘇市では3カ所で感謝祭を開催。小里の「はな阿蘇美」では、地元商店の出店や阿蘇カドリー・ドミニオンの出張動物園などがあった。復旧ルートを利用した畜産業の合志文利さん(56)=大津町=は「トンネルを抜けると阿蘇。ずっと真っすぐで安心だった」。道の駅波野「神楽苑」では、地元小中学生による神楽の舞が披露された。波野中3年の佐藤楓さんは「新型コロナウイルスの影響で公演や夏祭りができなかった。多くのお客さんに楽しんでもらえてうれしい」と喜んだ。
大津町の大津インターチェンジ付近では約2キロの列。バイク仲間6人でツーリング中の熊本市の会社員、田中裕貴さん(31)は「復旧ルートに車が流れてミルクロードの渋滞が解消されるとうれしい」と話した。
一方、南阿蘇村立野の現道は午後2時に開通。雄猿のしおたろう君と駆けつけた阿蘇猿回し劇場の村崎英治園長(38)は「観光客が増えると期待したい」と盛り上げに一役買った。同村の阿蘇ファームランドもにぎわった。竪山裕史総務部長(50)は「Go To トラベルで客は増えた。今後は迂回[うかい]せず安心して阿蘇に来てほしい」と声を弾ませた。
土砂崩れで犠牲になった大和晃[ひかる]さん=当時22歳=の父、卓也さん(62)は夕方、開通したばかりの現道に黄色の花束を供えた。「阿蘇がやっと元に戻ったという気持ち。道は元通りになった。いつでも阿蘇に戻っておいで」と手を合わせた。
8月のJR豊肥線全線開通に続く交通基盤の整備で阿蘇地域へのアクセスは飛躍的に向上する。復旧ルート開通式で万歳三唱の音頭を取った佐藤義興阿蘇市長は「復活のシンボル完成を喜びたい。24時間態勢で進められた工事にも感謝したい」と話した。
一言コメント
これで復興に弾みがつくといいね。
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