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ジビエ利用 伸び悩み 政府目標に届かず 豚熱、コロナが逆風 農水省調べ


ジビエ利用量

 ジビエ(野生鳥獣の肉)の利用量が2019年度は2008トンとなり、前年度から6・4%増えたことが農水省の調査で分かった。だが、政府目標の2600トンには届かなかった。豚熱の感染確認地域でのイノシシの流通自粛に加え、20年に入ってからは新型コロナウイルス禍で販売が伸び悩んだ。鳥獣被害防止や農村の所得向上の観点から、同省は25年度までに利用量を4000トンに増やす新目標を設定。21年度予算の概算要求でも大幅増額を求める。

利用量のうち、飲食店などで食肉として利用された量は1392トンで7割を占める。このうち、鹿は973トンで前年度から1・7%増えたが、イノシシは406トンで4・7%減った。

同省は豚熱のウイルス拡散を防ぐため、感染が確認された野生イノシシの発見現場から半径10キロ以内で狩猟したイノシシの流通自粛を自治体に要請。事実上、イノシシ肉を出荷できない状態が続いており、再開の見通しは立っていない。

コロナ禍で、ジビエ消費の柱となる飲食店の営業・利用自粛が広がったことも打撃となった。収束が見通せない中、同省は「20年度も難しい状況が見込まれる」(鳥獣対策・農村環境課)。

一方、ペットフード向けは37・2%増の513トンと好調だった。大半は鹿肉とみられる。同省は19年度から、シンポジウムの開催などで本格的に推進を開始。動物園の飼育動物に提供する事例も出てきている。

ジビエに利用されたイノシシと鹿は約11万6000頭で、捕獲頭数は124万3000頭(速報値)。利用量は増えているものの、利用率は9%台と低水準が続く。今年、同省は25年度までにジビエ利用を22万頭に増やす目標を新たに掲げた。重量に換算すると4000トンになる計算だ。

対策として(1)ジビエカーによる広域集荷体制の整備(2)ウデやスネなどの未利用部位の活用(3)需要の創出――などに向けた環境整備を強化する。21年度予算の概算要求案には、鳥獣被害防止対策とジビエ利活用の推進で162億円を計上。20年度当初予算より60億円増やし、処理加工施設の整備などを進める。

野生鳥獣による農作物被害額は減少傾向にあるが、約158億円(18年度)と高い水準のままだ。同省は「現場の声から課題をすくい上げ、ジビエ利用を増やすとともに、被害を減らしたい」(同)と話す。

日本農業新聞

 

 

一言コメント
いいお肉なのにもったいないね。


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