外国人実習生の介護仲介組合 全国初の破綻 コロナで68人入国できず 大分・中津
- 企業・経済
- 2020年9月27日
九州介護支援事業協同組合の事務所=大分県中津市大貞で、辻本知大撮影
ベトナムやインドネシアから来日する外国人技能実習生に介護の仕事を紹介する「九州介護支援事業協同組合」(大分県中津市/中川正宗代表理事)が近く、大分地裁中津支部に自己破産を申請する。新型コロナウイルスの感染拡大による入国制限のため、実習生が来日できず、事業継続の見通しが立たなくなった。新型コロナの影響により、外国人実習生を受け入れる団体が経営破綻するのは、全国で初めてとみられる。【辻本知大】
「これから利益が出るはずだった。こんなことになるとは」。破産準備に追われる男性職員(59)は肩を落とした。
組合の設立は2017年。外国人技能実習生の介護職種への受け入れが解禁された年だった。慢性的な人手不に悩む介護業界に、実習生の需要があるとにらんで組合を立ち上げた。東南アジアから実習生を受け入れ、介護施設に紹介し、1人あたり月2、3万円の監理費を得ることで事業への参入を狙った。
「初めの1、2年はひたすら投資だった。慣れない中、トラブルもあった」と男性職員は振り返る。ベトナムの送り出し機関と契約を結んだが、悪徳業者にだまされ、実習生が来日しないこともあった。
介護分野という業界にも壁があった。工場であれば1事業所で10~20人程度のまとまった人数の実習生を受け入れられるが、介護施設では1施設で数人が上限の場合がほとんど。大勢の実習生を紹介することが困難だった。
それでも設立から1年後、ようやく実習生が定期的に来日するめどが立った。外国人の介護職員は実績も少ないため、足しげく介護施設に通って事業者を説得した。
努力が実り、今年に入ってからは、同組合を通して28人の実習生が大分、福岡、山口県の10施設で働くようになった。それでも採算は厳しく、収入を倍増させるためにベトナム、インドネシアから68人の実習生を来日させる準備をしていた。
しかし、その矢先、新型コロナの感染が拡大したため、外国からの入国制限がかかった。実習生68人はいまだに入国できないままだ。
来年5月までに債務超過を解消しなければ、手続きの更新ができないため、団体は事業停止を決めた。
組合の代理人弁護士は「外国人材の受け入れ拡大をきっかけに、ここ数年、同様の団体が全国各地で設立されている。コロナ禍で事業が行き詰まるケースが相次いでいる可能性がある」と話す。
一言コメント
これからは外国人頼みも厳しそうだ。
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