ワニにヘリウム吸わせると… 日本人にイグ・ノーベル賞
- 政治・経済
- 2020年9月19日
ヨウスコウワニ(ジム・ダーリントンさん提供)
人々を笑わせ、考えさせた業績に贈られる「イグ・ノーベル賞」の発表が17日(日本時間18日)にあり、日本人を含む研究チームに「音響学賞」が贈られた。声色を変える無害なヘリウムガスをワニに吸わせ、鳴き声の変化を調べた。日本人の受賞は14年連続だ。
受賞したのは、ルンド大(スウェーデン)のステファン・レバー博士研究員や京都大霊長類研究所の西村剛准教授らのチーム。中国の固有種で絶滅が危ぶまれている爬虫(はちゅう)類、ヨウスコウワニが声を出すメカニズムについて、ヒトなどの哺乳類や鳥類と同じなのか調べた論文を2015年に英科学誌に発表した。
なぜ、実験にヘリウムガスを使ったのか。
ヘリウムは単体で吸うと酸欠のおそれがあるが、生体に無害なガスだ。酸素と混合したガスは、声が変化するバラエティーグッズとして売られている。
ヒトなどの哺乳類や鳥類は、のどから口までの「声道」という空間の中で、管楽器のように共鳴させて音を出している。ヘリウムガスで音が変化するのは、音声が普通の空気よりも早く伝わる性質があることなどからだ。
一方、ワニは太鼓の音にも似た鳴き声を出すが、詳しい発声の仕組みはよくわかっていなかった。そこで、ワニにヘリウムガスを吸わせて鳴かせた。もしワニが管楽器ではなく、打楽器のように空気を直接振動させて声を出す場合、ヘリウムガス中でも音が変わらないはずだからだ。
研究チームは動物園で飼育されているワニにヘリウムガスを吸わせた。すると鳴き声が変化し、ヒトなどと同じ発声メカニズムを持っていることがわかった。西村さんは「鳥もワニも同じ仕組みということは、(進化的に両者の間とされる)恐竜ももしかしたら同じかもしれない、という発想につながる」と話す。
一言コメント
こういう研究もいいね。
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