携帯業界、菅総裁に戦々恐々 電波利用料見直しも
- 政治・経済
- 2020年9月15日
総裁室で写真撮影に応じる自民党の菅義偉総裁=14日午後、東京都千代田区の自民党本部(桐山弘太撮影)
自民党の新総裁に14日、菅義偉(すが・よしひで)房長官が選出されたことで、世界的にも高水準とされる日本の携帯電話料金の値下げをめぐる議論の活発化が予想される。値下げは総務相経験もある菅氏の肝いりの課題で、首相として、さらに踏み込んだ政策を打ち出す可能性もある。消費者にとっては朗報だが、電波利用料の見直しまで言及された携帯大手は、戦々恐々としている。
菅氏は値下げに段階的に取り組んできたが、料金は高止まりしている。総務省によると、今年3月時点の世界6都市の標準的な料金プランは東京がニューヨークに次ぎ、2番目に高額だった。昨年10月に通信料金と端末代金の分離義務付けなどの競争促進策を実施したが、世界ではなお高水準にあることが示された。
菅氏は平成30年夏に「日本の携帯料金は4割程度下げる余地がある」と発言し、値下げ競争の促進策を主導した。それだけに制度を整えても、国内シェア9割の大手3社が値下げに消極的な姿勢であることへ、じくじたる思いが強い。
13日に出演したTV番組では、値下げが実現しない場合、「電波利用料の見直しをやらざるを得ない」と発言した。国に支払う電波の利用料金が増えれば、その分携帯大手の収益は圧迫される。菅氏の真意は不明だが、総務省幹部は、菅氏が業界や行政の仕組みに詳しいことから、改革への大なたに「怖さもある」と身構える。これまでの競争促進から、直接的な圧力をかける姿勢への転換もあり得る。
菅氏が圧力を強める背景には、携帯大手の営業利益率が20%と高い実態もある。携帯大手幹部は「国内市場は頭打ちで携帯料金収入では稼げない」「第5世代(5G)移動通信システムの基地局などで年間数千億円の投資がかかる」と反論するが、菅氏が意欲を示す一段の携帯値下げは不可避の情勢といえる。
一言コメント
少なくとも、このままということはないだろう。
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