米のアラブ説得、進展乏しく 対イスラエル正常化追随なし
- 国際
- 2020年8月29日
マナマで、ポンペオ米国務長官(左)と会談するバーレーンのハマド国王=バーレーンの国営通信が26日公開(AFP時事)
【カイロ時事】イスラエルとアラブ首長国連邦(UAE)の国交正常化合意を受け、米国による他のアラブ諸国への関係正常化の働き掛けが難航している。
ポンペオ米国務長官が中東・北アフリカを歴訪したが、追随の意向を明言した国はなし。11月の大統領選前に外交実績を急ぐトランプ米政権にとっては、成果に乏しい形となった。
ポンペオ氏は、最初の訪問地エルサレムでの記者会見で「イスラエルと協力すれば中東の安定だけでなく、自国民の生活も向上する」と主張。UAEに続き「アラブ各国が加わると期待している」と促した。
ただ、楽観する米国とは裏腹に、各国は国交樹立に慎重だ。ポンペオ氏がイスラエルから直行したスーダンは、暫定統治期間中であることを理由に否定的な考えを表明。一方で、米国が1993年から続けるテロ支援国家指定の解除を求め、「正常化と指定解除は切り離すべきだ」とくぎを刺した。
UAEに近いバーレーンでは、ハマド国王が「パレスチナ国家樹立と紛争終結が重要」と強調。バーレーンは合意を歓迎し、正常化で追随する可能性が最も高い国の一つに挙げられていただけに、米国は肩透かしを食った格好だ。歴訪最後のオマーンでも、ハイサム国王からの明確な意思表明は伝えられていない。
アラブ諸国が二の足を踏む背景には、イスラエルが米最新鋭ステルス戦闘機F35のUAEへの売却に反対していることや、地域大国サウジアラビアの意向があるもようだ。サウジは、イスラエルとの関係正常化は占領地からの完全撤退と、パレスチナ国家樹立を条件とする従来の原則を重視。UAEとは一線を画している。
カイロ・アメリカン大学のノハ・バクル教授(政治学)は「アラブ各国の国民は国交正常化を歓迎しているとは言えず、各国は関係改善が有益か見極めている」と指摘している。
一言コメント
そう簡単にはいかないようだ。
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