データミックスは企業間取引・企業経営に必須なビジネスニュース、政治・社会ニュースを配信しています

お名前ドットコム

焦点:「鉄のカーテン」再びか、ドル圏から締め出し恐れる中国


8月13日、中国国内では、米国との関係が急激に緊張する中で、「金融戦争」の行き着く先としてドルを中心とする国際通貨システムから中国が締め出される恐れがあるとの不安が高まりつつある。写真は米ドルと中国人民元の紙幣2月撮影(2020年 ロイター/Dado Ruvic)

[北京/上海 13日 ロイター] – 中国国内では、米国との関係が急激に緊張する中で、「金融戦争」の行き着く先としてドルを中心とする国際通貨システムから中国が締め出される恐れがあるとの不安が高まりつつある。かつてはまさかと思われていた破局的な展開が、現実味を帯びてきたと受け止められている。

中国がドル決済の枠組みから遮断されたり、米政府が中国の膨大なドル建て資産の一部を凍結ないし差し押さえたりするような最悪シナリオが、中国の当局者やエコノミストの間でここ数カ月、公然と論じられるという異例の光景が見られるようになった。

こうした懸念を背景に、中国製の新型コロナウイルスワクチンを輸出する際には人民元建て決済を採用する構想が浮上し、デジタル人民元を使ってドル決済を迂回することも検討され始めている。

スタンダード・チャータード銀行(スタンチャート)の広域中華圏経済調査責任者で、中国人民銀行(中央銀行)エコノミストだったシュアン・ディン氏は「人民元の国際化は以前なら『あれば好都合』だったが、もはや必要不可欠になろうとしている」と語り、米中間の金融デカップリング(分断)の脅威は「明白かつ今そこにある」と指摘した。

経済規模で世界第1位の米国と第2位の中国が完全にたもとを分かつ事態が起きる公算は乏しいとはいえ、トランプ政権は貿易やハイテク、金融業務などに絡む重要分野で部分的なデカップリングを推進し続けている。その一環として、米国の会計基準を満たさない中国企業の上場を禁止する提案や、動画投稿のTikTok(ティックトック)やメッセージを交換する微信(ウィーチャット)といった中国のアプリ使用禁止の方針などを打ち出した。11月3日の米大統領選に向け、両国の関係はさらに緊迫化する見通しだ。

中国政府系シンクタンク、中国社会科学院のエコノミストで以前、人民銀のアドバイザーだったユー・ヨンディン氏はロイターに「広範な金融戦争はもう始まっている。(だが)最も致命的な手段はまだ使われていない」と話す。

ユー氏は、米国が発動する究極の制裁は中国が保有するドル建て資産の接収になるとみている。中国政府は1兆元超相当の米国債を持っており、実際に接収するのは難しいし、米政府にとって自滅行為にもなる。それでもユー氏は、現在の米国の指導層を「過激主義者たち」と定義し、デカップリングの可能性は排除できない以上、中国は備えを固める必要があると訴えた。

<市場に甚大な影響>

実現した場合の影響は甚大だ。米政府が中国をドル体制から排除し、その報復として中国が大量の米国債を売却すれば、金融市場が大混乱して世界経済が痛手を受けかねない、とアナリストは警戒する。

中国証券規制当局幹部のファン・ジンガイ氏は、中国は米国の制裁に対して脆弱であり、「早期」かつ「現実的」な準備を整えるべきだと主張。6月に独立系メディアの財新が主催したフォーラムでは、既に多くのロシアの企業や金融機関が米国の制裁に対するもろさを露呈していると説明した。

BOCインターナショナル(中銀国際)のチーフ・グローバル・エコノミストで、以前に中国国家外為管理局の国際決済局長を務めていたグアン・タオ氏も、中国政府がデカップリングに身構えておくべきだと提言し、米国が中国をドル決済システムから追い出す可能性があるとの心づもりが必要だとロイターに明かした。

またグアン氏は先月共同執筆したリポートで、国際貿易において人民元の国際銀行間決済システム(CIPS)の利用拡大を図ることを提唱した。中国が行う国際貿易は現在、ほとんどドル決済方式のSWIFT(国際銀行間通信協会)を経由しており、中国国内の一部から、いざという場合に苦境に立ってしまうとの声が出ている。

<核オプション>

こうした情勢を踏まえ、中国政府は過去5年間停滞させていた人民元国際化の取り組みを再び強化している。 人民銀行の上海事務所は先月、金融機関に人民元建て取引を拡大し、直接投資でローカル通貨を優先使用するよう促した。

9日には人民銀の易綱総裁が人民元国際化が順調に進み、今年上期の国際間決済額が前年同期比36.7%増加したと発言したことが公表された。易綱氏によると、第1・四半期の世界の外貨準備に占める人民元の比率は2%を突破。SWIFTのデータを見ると、6月には国際間決済で人民元がスイスフランを抜いて利用順位で世界第5位に上がった。

ただ人民元国際化は、中国自らが導入した厳しい資本規制が足かせになっている。さらに新型コロナへの対応や香港問題などで中国に批判的な諸国の抵抗に直面してもおかしくない。

OCBC銀行の広域中華圏調査責任者トミー・ジー氏は、国際間決済を拡大する1つの方法として、新型コロナワクチンなど中国が輸出する一部の品目を人民元建てで価格設定することを挙げた。

上海財経大学のディン・ジャンピン教授は、中銀間の通貨スワップを背景にデジタル人民元での決済を提案し、SWIFTのようなシステムを経由しないというやり方もあると指摘する。

スタンチャートのディン氏は、中国政府としては米国がドル体制から中国を追い出すという「核オプション」に備える以外、選択の余地はないと分析。「実際に制裁が降りかかってきた際に、そのまま混乱に身を投じる余裕など中国にはない」と強調した。

ロイター

 

 

一言コメント
どこまでエスカレートするのだろうか?

 


コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

※日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。

注目他社記事一覧

第3弾 波戸崎崇の思惑と、利用される幹部陣 山下遥香、西岡勇成、船津裕隆の人生はどこへ(後編)

★契約書控え無し移籍金支払い期限無しで辞めたら契約不履行で契約金を払わない悪質スキーム 前編で書いた通り、波戸崎は高学歴で歯車思考の洗脳しやすい従業員を周りに置いているが、バルセロナグループ自体に信用がない為に現地採用の […]

コメントなし

第3弾 波戸崎崇の思惑と、利用される幹部陣 山下遥香、西岡勇成、船津裕隆の人生はどこへ(前編)

前回は、バルセロナグループの金融商品取引法違反やキャストの移籍金詐欺について詳しく述べた。今回は予告していた、西岡勇成、船津裕隆、の情報とバルセロナグループ波戸崎崇と山下遥香のSNSを使ったビジネスモデル(カルト宗教的勧 […]

コメントなし

第二弾 バルセロナグループの黒い噂 可哀想な金魚(移籍したキャバ嬢20名)後編

か弱き金魚達は完全なる被害者であり、バルセロナが撤退した後は中洲の各お店で受け入れるだろう。繁華街で生き抜いた人々にはそのような寛容な思考がある。1人として働きにくいと感じさせてはいけない。元の店に戻りにくいように裏切ら […]

コメントなし

第二弾 バルセロナグループの黒い噂 可哀想な金魚(移籍したキャバ嬢20名)前編

列島は台風が去り徐々に熱気と湿度が下がりつつある。第一弾から調査している実際の内装費はいくらなのか?我々はネットワークを駆使し、オオモ◯総建社員の証言のもと、実質内装費「税抜1.5億円」と確認した。 また、波戸崎氏がソフ […]

コメントなし

第一弾(後)波戸崎崇の投資話と洗脳手法に騙される中洲の人たち

前述の会社ぐるみで一般のキャストに自分達の投資を伏せて、あたかも自分達が特別扱いされてると感じでいる投資者(キャバ嬢)が正に騙されているのだ。調べるほどバルセロナという会社は詐欺と欺瞞、嘘で固められたマルチ詐欺集団のよう […]

コメントなし

注目他社記事一覧

独自記事

【松本昌大】アフターコロナシリーズEP2~事件師たちを追う~

2024年の日本の選挙、いやー大波乱でしたね!自民党がまさかの過半数割れ。とはいえ「まあ、そうなるよね」と予感してた人も多いでしょう。世の中、どこにでもある「不信感」。これが政治だけじゃなく医療福祉業界にも広がってるんで […]

【松本昌大】アフターコロナシリーズEP1~事件師たちを追う~

昨年、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行した。今年に入り日本ではプロ野球よりメジャーリーク大谷の話題で日本が明るくなり活気が戻ってきた。活気が戻りつつ街が賑わえばやはり増え […]

コメントなし

詐欺師か?ただの無能経営者か?行橋が生んだ経営者一家 村田晃士を追及する(第5弾)

株式会社ブランニュープランニングの終りの始まりが来た。 民事再生という逃げ道をとった村田晃士氏 登記簿(関税人の名前消して) 3月末に動きがあった。私共データミックスの情報が嘘ではないことを証明した内容だ。(株)ブランニ […]

1件のコメント

詐欺師か?ただの無能経営者か?行橋が生んだ経営者一家 村田晃士を追及する(第4弾)

2024年、石川県能登半島での大地震から始まってしまい、衝撃的な令和六年のスタートに不安を感じたが、被災者の皆さんの行動力や頑張りに胸を打たれながらの2ヶ月でした。特に心苦しいのがこんな大変な状況なのに発生してしまうのが […]

2 comments

詐欺師か?ただの無能経営者か?行橋が生んだ経営者一家 村田晃士を追及する(第3弾)

今年も残すところあとわずかとなりましたが、いかがお過ごしでしょうか。 アメリカは大谷翔平選手移籍の話題で盛り上がる中、わが国では政治家の裏金問題が岸田政権を揺るがす事態となっています。 今から来年のことが心配になっている […]

コメントなし

独自記事一覧

石川の一撃

「NetIB News」「データマックス」は善か悪か?信念か金か?ゴルフ場を巡る攻防「尾崎朝樹氏・田原司氏と児玉氏との関係性は?」(第11弾)

中国で発生した新型肺炎は終息する兆しがなく、世界中で猛威を振るいつつあります。 暖かい季節になってきましたが、読者の皆様も健康管理など、くれぐれもご留意ください。 前回、ザ・クイーンズヒルゴルフクラブ(以下クイーンズヒル […]

4 comments

「NetIB News」「データマックス」は善か悪か?信念か金か?ゴルフ場を巡る攻防「田原司氏と児玉氏との関係性は?」(第10弾)

温暖化と言われる時代ですが、やはり寒い季節ですね。 読者の皆さん風邪など引かないようにしてくださいね。 児玉氏の毎年の様にお友達と行われるマックスゴルフコンペ動画を見て 貴殿のスイングに目を奪われましたよ。 それに加え「 […]

1件のコメント

「NetIB News」「データマックス」は善か悪か?信念か金か?役員構成変更そして今後のI・Bは?(第9弾 後編)

豪雨、台風と今年も不安定な夏でしたが、やっと涼しくなってきました。 東京五輪もいよいよあと1年となりましたが、読者の皆様はいかがお過ごしでしょうか。 (取締役 児玉崇氏) 前回はデータ・マックス社の度重なる役員構成変更に […]

コメントなし

「NetIB News」「データマックス」は善か悪か?信念か金か?さらなる役員構成変更の意図は?(第9弾 前編)

梅雨が明け真夏日が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか? 昨年にも増して暑さが厳しく感じられますね。 しばらく酷暑は続きそうですが、読者の皆様もお体に気をつけてお過ごしください。 さて、昨年も報じてきた「データ・マ […]

コメントなし

「NetIB News」「データマックス」は善か悪か?信念か金か?(第8弾 後編)

後編 「役員構成変更に見え隠れする児玉氏の未来図とは」 前編に続いてデータ・マックスグループの役員構成について考えた。 ※同役員構成については、「NetIB News」「データ・マックス」は善か悪か?信念か金か?(番外編 […]

1件のコメント

石川の一撃記事一覧

Copyright© 2017 データミックス All rights reserved.